再会と幕開け〜紅井朱雀◆〜



んーーっ!良いお話だったー!

シアターを出ると、外はクリスマスムード一色で、今まで観ていた映画の雰囲気とはがらりと変わって、現実に引き戻されてしまったけど。
ふーんだ、クリスマスに1人で映画観てたって、別に寂しくないもん!

現実から目を背けるように、私は映画を思い返した。
映画の割引が今日までだったから、あんまり深く考えずに観に来た映画だったけど、いい映画だったなぁ。
かっこいいアクションがあって、感動できるシーンもあって…ちょっと泣いちゃった。

…号泣してる男の人もいたなぁ。
席が離れてたっぽくて、どんな人かはわからなかったけど…感受性が豊かな人なんだろうなぁ。

そうだ、パンフレット買って行こっと!
そう思って売店で列に並ぶと、目の前に見覚えのある人が並んでいた。

「…紅井くん?」
「あ?…お、おお、みょうじさんじゃねーか!」
「久しぶりー!」

紅井くんは、中学の時の同級生だ。
見た目からしてバリバリのヤンキーなので、敬遠してる人も多かったけど、話してみるとものすごくいい人だし、色んな反応が面白くって。
同じ委員会になったのをきっかけに、話すようになったのだった。
とは言っても、紅井くんは女子が苦手だから、そこまで仲良し、って感じでもなかったし、高校も別だから、本当に久しぶりだ。

「…あれ、そのパンフレット」

そんな紅井くんが、真っ赤な目と鼻をしながら腕の中に大事そうに抱えていたのは、私が欲しいと思っていたものと同じ作品のパンフレットだった。
…もしかして。

「…紅井くん、もしかしてさっきまでその映画観てて、号泣してた?」
「っ!!い、いや、そんなことは……あるけどよぉ…!」
「あはは、やっぱりそうなんだ!私もそれ観てて、パンフ欲しいなって思ってたんだー!」

そこまで話していると、列が進んで紅井くんの番が回ってきたので、一旦離れた。
私もすぐに順番が回ってきて、お会計を済ませると、紅井くんは出口で待っていてくれた。

「待っててくれたんだね、ありがと!」
「お、おう…まあ、せっかく会えたんだしよ」

そう言って目を逸らす紅井くん。
…女子が苦手なの、まだ克服してないんだなーなんて思って、ちょっと安心しちゃった。
アイドルをはじめたって聞いて、色々変わっちゃったのかな…とか、勝手に思ってたから。

「ねえねえ、これから時間ある?」
「おう、これから特に予定はねえけど」
「じゃあ、おやつ食べながら、さっきの映画について語らない?」
「いいぜ!オレも映画について誰かと話したくってよぉっ!」
「確か、パンケーキ好きだったよね。近くに美味しいお店があるんだよー!そこでいい?」

ノリよく紅井くんが返してくれたので、私は嬉しくなって紅井くんの手をとろうと…したんだけど。

「うぉっ!?」
「えっ。あ、ごめんごめん、つい」

そうだった。紅井くんはなんとか私とは普通に話してくれるもの、ボディタッチはダメだったんだ。
そもそも、ただの同級生なのに、手を引っ張ったりしたら、よくないよね。
…なんていうか、今日って言う日的にも。
アイドルなんだもん、周りの人に変な勘違いされても困るもんね。

「い…嫌なわけじゃ、ねえんだけどよ…!」
「ああ、うん。大丈夫だよ。こっちこそごめんね。とりあえず、行こ!」
「…おう」


なんだか変な雰囲気になっちゃったけど、私と紅井くんは、目的のお店に向かって歩き出した。
…それにしても人が多いなぁ。
まぁ、クリスマスだし、そういうものかもしれないけど…
うう、押し流されちゃいそう。

「わっ!」
「おい、大丈夫か?」
「う、うん。ごめんね、ありがとう」

人にぶつかってよろけたところを、紅井くんが支えてくれた。
はあ、もっと気をつけなくっちゃ。

「…オレのここ、つかんでていいぜ」

視線を合わさず、紅井くんは、自分の服の裾を指さした。
あはは、紅井くんらしい優しさだ。

「ありがとう」

私はそっと裾を掴んで、紅井くんの隣に立った。


それから、パンケーキを食べながら、映画の感想を語り合って…私たちは、家路に着いた。
最初はぼっちだったけど、充実したクリスマスになったなぁ。
紅井くんには大感謝だ。

「今日はありがとね!わざわざ家まで送ってくれて…」
「こっちこそ、楽しかったぜ。パンケーキも美味かったしな!」
「ふふ、よかった。あっ、そうだ」

私はごそごそとスマホを取り出した。
せっかく再会できたんだもん、連絡先交換したいな。

そう言うと、紅井くんもスマホを取り出してくれた。
そしてメッセージアプリのIDを交換すると…「お袋以外の女子の連絡先、初めて知った」なんて呟いた。
あはは、紅井くんらしいなぁ。

「また、機会があったら、映画とか、パンケーキとか…それ以外でも、一緒に遊べたら嬉しいな」
「お、おう。オ、オレからも、連絡して大丈夫か?」
「もちろんだよー!」

アイドルのお仕事とかで忙しそうだし、ゆっくりでもいいから、返事くれたら嬉しいな!と伝えると「ぜってー返事すっからよ!」と紅井くんは笑ってくれた。
ふふ、よかったー。


そして、紅井くんが帰って行ってから、私が「今日はありがとう、また遊ぼうね」なんてスタンプ付きでメッセージを送ったら。
既読がついてから少し間をおいて、紅井くんは可愛らしいスタンプ付きで、返事をくれた。
そのスタンプが、紅井くんからは想像できない可愛さで…なんだか、色々と想像してしまって。

私は改めて、今日の再会に感謝して…そしてこれからの未来に、わくわくとした気持ちを抱えながら、クリスマスを終えたのだった――



Merry Christmas with 315Production!!




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