【2周年企画】お題A別バージョン



あくまでおまけ。とても短い一部のみです。


◆水嶋咲×百合?な禁断恋愛

「プロデューサー。あのね、今度のドラマの演技でちょっと迷ってて…アドバイスくれる?」

と、台本を抱えた咲ちゃんから声をかけられた。
その台本は、今度咲ちゃんが出演することになったドラマのものだった。

舞台は大正時代の女学校。
咲ちゃんが演じる、妖しい魅力をまとった生徒会長と、新入生の可憐な女生徒を中心に、儚い恋、そして仄暗くミステリアスな物語が紡がれていくのだ。

「もちろん。じゃあ会議室でやろうか」
「わぁい、ありがっとー!」

善は急げ。
幸い急ぎの仕事はないし、早速私たちは会議室に移動した。


――そして2人で色々話して、相談して…なんとか、演技の方向は定まった。

「よーし!それじゃ、実際にやってみてもいい?プロデューサーには、このページの…新入生ちゃんの台詞を読んでくれる?」
「うん、いいよ」
「ありがっとー!じゃあ行くね」

カチリとスイッチが入ったように、咲ちゃんの瞳が変わる。
わぁ、キャラがだいぶ出来上がってるみたい。
咲ちゃんの気合が伝わってくるなぁ。
…おっと、いけない。台本台本ー…

『いけない子ね、ここには来てはいけないと言ったのに』
『も、申し訳ありません、でも、私…!』

私は棒読みだけど…咲ちゃんは既に立ち居振る舞いもばっちりだ。

『英吉利には“Curiosity killed the cat”――“好奇心は猫を殺す”ということわざがあるそうよ…私は、貴女に死んで欲しくはないのだけれど』

そう言って、咲ちゃんは近づいてくる。
そしてすっと目を細め。

『ねえ、可愛い私の子猫さん』
『っ――!?』

私の顎を掬い上げて、つぅ…と撫でた。

わ、、わわーーーーーー!!!!!!????
変な声出かかった!ひえぇぇええ…!!

「…って感じでどうかな?」

演技のスイッチを切って、ぱっと明るく聞いてくる咲ちゃんに。

「と、とっ…とりあえず………英語の発音は、類さんに確認しようか!?」

なんて返ししかできないほどに、私は咲ちゃんの演技に飲まれてしまったのであった――

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◆舞田類×先生と生徒の少女漫画風恋愛

――場所は国語準備室。
2人きりで、成績がガタ落ちしたことを心配した鈴木という国語教師が、女子生徒を呼び出したシーン。

おとなしそうな女子生徒は、感情を堰を切ったように感情を溢れさせながら言葉を紡ぐ。


『先生…私、鈴木先生のことが好き、好きなんです…!!』
『っ…!』
『先生のことばっかり考えちゃって…何も手につかなくて、胸が苦しくて…こんなの初めてでっ…どうしたら、いいんですか…!鈴木先生は私のこと、どう思ってるんですか!?』


――というのが、とある少女マンガのワンシーン。

今度実写化され、類さんがこの先生役を務めることになった…のだが。


「…いや、もういいでしょう、何回目ですか…」
「ダメだよ!このシーンは作品のclimaxなんだから!オレまだunconvincedなんだ」
「ええ〜〜…」
「ね、please once again!」

……普段なら、私もこんなこと言わないんだけど。
台本読みに付き合うたびに、類さんのことを好き好き言わされる身にもなって欲しい…!
しかも至近距離で!

「うう、もうこれが最後ですからね!!」
「Thanks♪プロデューサーちゃん!」

担当アイドルの力にはなりたい。
そう思ってるし、いつもできる限りそうしてるつもり。
でも今回のはなんというか…私情が入ってしまって、辛い…!

「…類さん、現役時代に生徒から告白されるとかたくさんあったんじゃないですか?こういうシーンも慣れてそうなものですけど」
「えーそんなことないよ?」
「嘘だぁ…まぁ、受け入れてたら困りますけど」
「あはは、それは本当にないから安心して。ミスターはざまに誓ってもいいよ」
「なんですかそれ」

私の発言を軽く流して、よくわからない冗談を言う類さん。もー。
絶対モテてたでしょ、こんな先生いたら!

「ねえ、プロデューサーちゃん。Last chanceなら、プロデューサーちゃんもfull forceで感情乗せてみてよ」
「私に演技力求めないでくださいー」
「これを最後にするから!ね、お願い!上手だとか下手だとかは気にしなくていいから、とにかく思いっきり読んでみてよ」
「え〜…」

類さんの発想、謎過ぎる。
いつも棒読みでもなんにも言わないのに…私のこと、からかってるんだろうか。
………いいですよ、だったらこっちだってやってやるんだから!

「しょうがないですね…1回だけですよ。これが最後の最後です!
「あはっ、Thanks!!」
「…コホン。じゃあ行きますからね!!」
「OK!」

私の本気見せてやるんだからー!!

『先生…私、舞田先生のことが好き、好きなんです…!!』
『!?』
『先生のことばっかり考えちゃって…何も手につかなくて、胸が苦しくて…こんなの初めてでっ…どうしたら、いいんですか…!舞田先生は私のこと、どう思ってるんですか!?』

意趣返しと言うかなんというか…名前を類さんそのものに変えてみた。
どうだー…って。

「え?」

――ちょっと、なんで類さん喋らないの。

――――なんで、顔、真っ赤なの。

「ちょっ、類さん?」

「反則だよ、プロデューサーちゃん…俺も好きに決まってるよ…」

ええ!?

「え、ええと―――…そ、そんなに上手かったですか、私の演技…」

フォローになってない気がするけど。
まさかの反応に、私も顔が熱くて、その場に、なんとも言えない空気が、流れていくのだった――

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◆兜大吾×少年漫画風学園ラブコメ

つい先ほどまで、大吾くんの台本の読み合わせに付き合っていた。
今は休憩中だ。
大吾くんに飲み物を渡して、自分もペットボトルのお茶でのどを潤した。

今度大吾くんが演じるのは、とある少年マンガの主人公。
超王道学園ラブコメで、主人公もヒロインも素直になれないケンカップル…そしてそれを取り巻くサブヒロインや友人たち…という、感じの物語だ。
パンを咥えて走っていた2人が角でぶつかるところから始まり、様々なお約束要素が詰め込まれていて、その組み合わせの妙が受けている作品らしい。

台本を読み終えたものの、釈然としない、といった感じで大吾くんは頭を捻った。

「なんでこの2人は顔を合わせるたびにケンカになってしまうんじゃろ?素直になればええのに」

キャラクターの性格や関係性が腑に落ちない大吾くんは、頭を捻った。
大吾くんは年齢の割に達観してるからなぁ…
マンガ原作だから、多少誇張はあるだろうけど…この作品の登場人物くらいの年齢だったら、こんなものでは、と思ったりする。
とは言え、私も遠い昔の記憶だからなぁー…

「ボスは、学生時代どうじゃった?好きな人はいたんか?」
「えっ…まぁ…人並みには…?」
「そうなんじゃな!参考までに、話を聞かせてくれんか?」
「い、いやー…そんな甘酸っぱい思い出はないんだけど…」
「少しでもええから!どんな人じゃった?」
「う、えと、2学年上の部活の先輩で…」

ひー顔が熱い。
大昔の話をこんな風に担当アイドルにすることになるとは思わなかった。
大吾くんもこういう話興味あるんだね…本当に参考にするだけだろうか…

「…なるほど…ボスはそういう人が好みだったんじゃな。今はどうじゃ?」
「今?えー…まぁ好みとしては変わってないかも、だけど」

なんとなく先輩っぽいな、と思うとつい目で追ってしまうとかは…なくはない、かも。

「ふぅむ…」

何やら考え込む大吾くん。
これ以上は勘弁して!

「さ、もうこの話はおしまいー!」
「…ああ。また今度聞かせてくれ!」

大吾くんはそれ以上の追求はしてこなかったけど、またと言われても…
もう話せることなんてないよー…!
今は『仕事が恋人』状態だし。

とりあえず、今は大吾くんとこの仕事が上手くいくように頑張ろう…!
…友達から恋愛話仕入れとこうかなぁ。




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