みっしょん:とらんすぽーてーしょん



※拍手log


「やばーーいっっ!!!時間がないーー!!」
「プロデューサーさん。そんなに慌ててどうしたんだ?」

とある昼下がり。
学生組がまだ学校にいる時間帯のためか静かだった事務所に、プロデューサーさんの声と足音が響いた。

「あああ信玄さん〜〜!!!気付いたら次の打ち合わせまでギリギリで!!!企画書に没頭しちゃってたんです…!」

集中できるからって会議室に籠ってたのが失敗でした!とぎゅうぎゅうとバッグに荷物を詰めていくプロデューサーさん。

「それなら、自分がバイクで送って行こう」
「ほんとですか!?…って今日はダメでした…」

自分の提案にぱっと明るくなった笑顔が、一瞬にして曇り顔になった。

「なぜだ?」
「こんな日に限ってスカートを着てるっていう…さすがの私でも、これでバイクに跨るのは…」
と言葉を濁して自らの服装に視線を落としたプロデューサーさんが着用していたのは、短く、かつ可動域の少なそうなスカートだった。

「そ、そうだったんだな、すまない!!」

プロデューサーさんのスカートを見つめてしまったことに気づき、顔が赤くなるのが自分でもわかる。
いたたまれず、顔をそらした。

「いいえ!というわけでお気持ちだけ!ありがとうございました!それではいってきます!!」
「ああ、気をつけてな!」

そしてプロデューサーさんが去った事務所はがらんとして、物寂しさを感じてしまった。

…さて、今回の作戦は失敗だったようだ。
女性は大変なんだな…しかし、また同じ事態が起こらないとも限らない。
これは作戦を練る必要がありそうだ。

ソファに座って、思案をしてみる。

作戦案1。バイクにサイドカーをつける。
これなら、プロデューサーさんの服装の選択肢は広いはずだ。
…だが、これではバイクのメリットである『小回りが利くこと』が死んでしまって、意味がなくなるな。

作戦案2。プロデューサーさんの着替えを用意しておく。
……いやいや、自分が用意してどうする。
常にズボン着用を義務付け…るのも、違うな。
バイクに乗ることを考えると、ズボンの方が好ましいわけではあるが…強制できることではない。
かと言って、着替えるのもな…急ぎの時は、着替えの時間すら惜しいかもしれない。
女性の身支度は時間がかかると聞くからな。

作戦案3。自転車を用意する。
小回りはきくが、二人乗りはできないし、プロデューサーさんの体力勝負になってしまうな…
それに天気や時間によっては、かなりの危険を伴ってしまう。

…うーむ、難しいミッションだ。
だが!困難な作戦ほど燃えるというものだ!



「…なんか、信玄が燃えてないか?」
「そうですね…何かあったんですかね…?」
「――そうか!自分がプロデューサーさんを抱えて、バイクより早く走れるようになればいいのか!」
「!?流れが全然わからねぇけど、絶対それは違うぞ、信玄!?」




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