お見合い狂想曲〜神速一魂編〜



「番長さんが…」
「見合いーー!!?」

山村から「噂ですけど」とその話を聞いた神速一魂の2人は、額を合わせて唸った。

「…考えてみりゃ、番長さんだって大人の女性なんだ…そんな話がでてもおかしかねぇ」
「オ、オレたちはどうすりゃいいんだ!?」
「どうもこうも…番長さんのプライベートだ、口出しはできねぇさ」
「それはそうかもしれないけどよおっ!」

行き場のないもどかしさを抱えた朱雀は、ガシガシと頭をかきむしる。
そんな相棒を見て、玄武は静かに目を光らせた。

「…見に行くか」
「え?」
「俺たちの番長さんにふさわしい相手か、どうか見極めてやろうじゃねぇか」
「なるほど!さすが玄武だぜ!そうと決まれば早速、いつなのか聞きに行こうぜ!!」
「おうッ!」

そして、2人はプロデューサーを見つけると、その前にどん!と立ちはだかった。

「あれ、どうしたの、2人とも。私に何か用?」
「プロデューサーさんよおっ!お見合いの日はいつなんだ!?」
「へっ!?」
「番長さんの幸せを邪魔するつもりはないが…番長さんにふさわしい相手か、確かめさせてもらいてぇ」

プロデューサーは、突然の話に着いていくのがやっとながらも、2人が待ち合わせ場所にいる図を想像した。
いやいやいや、2人がきたら大概の人はビビって逃げちゃうよ!とは口には出せない。

「どこからそれを聞いたのか知らないけど、かるーく話が出ただけで、実際にはしないから大丈夫だよ」
「なんだ、そうだったのか」
「あはは、でも2人が心配してくれたのは嬉しいよ。そうだなぁ、しばらくお見合いをすることはないだろうし、今は恋人だっていないけど…そんな時が来たら、ちゃんと2人には紹介するよ」
「ありがとなっ、プロデューサーさん!」

そう笑うプロデューサーに安心したものの、なぜか心に生まれた、もやっとしたなにか。
そんな自分の心に疑問を抱きながらも、それを言葉にすることはできないまま、神速一魂の2人はその日の仕事に向かったのだった――




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