「ねぇねぇ2人とも聞いてよ!プロデューサーさんがお見合いするんだって!」
「「えっ」」
遅れてやってきた翔太が、開口一番そう告げると、冬馬と北斗は声を揃えて反応した。
「見合いって…プロデューサー、結婚する気なのか?」
「うーん、どうだろうね。仕事や親戚の付き合いで断れない、ってことも、あるんじゃないかな」
「えー結婚しちゃったら、僕達のプロデュースはどうするのさー」
「プロデューサーが投げ出すことはないと思うけど…でも、プロデューサー自身の幸せも大事だからね」
「それはそうだけどさぁ」
大人な反応の北斗と、対照的に頬を膨らませる翔太。
一方、冬馬は。
「…止めてくる」
「へ」
そう言って立ち上がると止める間もなく、プロデューサーを探しに向かった。
翔太と北斗も慌てて着いていく。
そして、プロデューサーを見つけると、前置きもなく冬馬は言い放った。
「プロデューサー!俺たちのわがままかもしれねーけど…見合いはやめてくれ!!」
「は?え、なに!?」
唐突な冬馬の言葉に、北斗がそれまでの流れを話し、フォローする。
言いだしっぺの翔太は、その横で楽しそうに笑っていた。
「あははは、なるほどねー大丈夫、しないよぉ!」
3人の杞憂を吹き飛ばすように、プロデューサーはからからと笑って否定した。
「その代わり、責任とってね?」と笑いながらプロデューサが返すと、「あったりまえだ!」と冬馬は言い切った。
「そうですね。俺なら、今すぐとれますよ。今から役所に行きましょうか」
「え、ダメだよ、プロデューサーさんは僕のなんだから!あと4年待っててよ」
「あら、嬉しいわー。でもとりあえず、今すぐじゃなくて大丈夫だから」
畳みかけるように北斗と翔太が言うと、プロデューサーもノリよく返した。
その状況についていけていないのは、冬馬だけだった。
「お前ら何言って…」
「え、責任って言われたら、ねぇ?」
翔太が当然でしょ?と言う風に返すと、そこでようやく、冬馬も2人が何を言わんとしているかを理解した。
「!!責任って…お、俺はそういうつもりじゃ…!?」
「えー冬馬くん、男に二言はないんじゃないのー?あ、でも冬馬くんがおりてくれるなら、ライバルが1人減ってくれていいや♪」
「ふふ、それはそうだね」
翔太と北斗が笑うと、真っ赤になった冬馬はぐぐぐ、と唸る。
それを見たプロデューサーは、笑いながら2人を止めた。
「こらこら2人とも、冬馬をあんまりからかっちゃダメだよ」
「あはは、はーい、ごめんなさーい」
「俺は本気ですよ?」
「うんうん、ありがと。お気持ちだけいただいておきます」
「つれないですね。プロデューサーは手強いな」
からかわれたことには腹が立つものの、この風景がまだしばらく変わらないことに、冬馬はそっと胸を撫で下ろした――