お見合い狂想曲〜彩編〜



とある仕事終わり、私は翔真さんから声をかけられた。

「今度の日曜日、プロデューサーちゃんもオフよね。みんなでご飯食べに行こうって話してるんだけど、プロデューサーちゃんも来ない?」
「あー…うー…すみません、その日は予定が…」

そうなのです…
超!!!気の重い予定があるのです…

「あら、そうなの?残念ね」
「そっちを蹴って、みなさんとご飯に行きたいです…!!」
「そ、それほどまでに、気の乗らない用事なのですか…?」

私が机に突っ伏して悲嘆にくれていると、九郎くんが心配そうに聞いてくれた。
ここまで来たら洗いざらい話してしまおう!…というか聞いて!!

「日曜日…伯母さんに、無理矢理セッティングされたお見合いがありまして…」
「にゃんと!プロデューサークンがお見合いするでにゃんすか!?」
「うん…そうだね…」
「『ご趣味は?』『お花を少々…』とか、『あとは若い者同士で…』とか言う、あのお見合いでにゃんすか!?」
「そうだねぇ、それだねぇ…」

キリオくんは興味津々!という感じでノリノリだ。
私のテンションとは天地の差である…

「私の地元、ド田舎で…まだ本家とか、そういうのがすっごく強くて…」
「どこのおうちも、大変なのですね…」

九郎くんは親身になって聞いてくれている。
ありがとう…

「相手はその本家の…次男なんですけど、そのお母さんが、とっても厳しいことで有名で…というか、長男のお嫁さんがうちのお姉ちゃんの友達なので、色々聞こえてきてですね。とってもお近づきにはなりたくなかったんですけど…」
「『ちょっと、まだここにホコリが残ってるじゃないか!』『す、すみません、お義母様、今やり直します』『あーやだやだ、掃除もマトモにできないのかい!』とか」
「うん」
「『ちょっと!なんだいこの塩辛い煮物は!私に死ねっていうのかい!』『そ、そんな…違います、お義母様!』みたいなやつでにゃんす?」
「…わーキリオくん上手ー…でもやめてー…」

ダメだ、話しているうちに余計に憂鬱になってきた。

「なぜか、東京に出てきてる者同士というだけで、私に白羽の矢が立ってですね…逃げまくっていたんですけど、ついに追い詰められてしまいまして…日曜日に戦いに行かねばならないのです…!」

マジで、なぜ私なの…!
東京に出てきてる人間なら、他にもいるのに!

それまで黙っていた翔真さんはふむ、と頷くと、ニコリと笑った。

「プロデューサーちゃんがどこにお嫁に行っても大丈夫なように、アタシたちが鍛えてあげる!」
「はいぃ!?話が飛躍しすぎてません!?」
「花嫁修業しておいて、困ることなんてないわよォ?」
「そりゃそうかもしれませんけど!!」
「家事ならワガハイにおまかせあ〜れ〜でにゃんす♪」
「お、お茶でしたら、私もご協力できるかと…!」
「着付けや所作ならアタシに任せな。『どこに出しても恥ずかしくないお嬢さん』にしてあげるわ!」

なんでみんなノリノリなのー!?
こんなことに結束力発揮してくれなくていいから!!!

「け、結構ですー!!私は今、みなさんのプロデュースが一番大事なので!!」
「おや、嬉しいこと言ってくれるねェ。だけど、ちゃあんと自分自身の幸せも考えないとダメよォ?」
「プロデューサークンにお相手がいないなら、ワガハイが立候補するぞなもし!」
「あら、じゃあアタシも」

そう言って2人が手を挙げる。
そしてちら、と2人から送られた視線に、九郎くんは何か受信したようで。

「え…あ!!わ、私も…!」
「「どうぞどうぞ」」
「!!!で、できました…!これが以前教えていただいた、お笑いの伝統芸…でしたよね!」

手を挙げたまま、興奮した様子で言う九郎くん。
う、うん…そうだね…なんて達成感に満ちた顔をしてるのかしら…

ていうか、私のお見合い話からどうしてこうなった…
いやまぁ、九郎くんが嬉しそうだし、今日も彩のみんなが仲良しで何よりです…

………………わーん、日曜日行きたくないよぅぅ!!!




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