お見合い狂想曲〜Altessimo編〜



テレビ番組の収録が終わり、Altessimoとプロデューサーが控室で一息ついていると、番組のチーフプロデューサーが挨拶にやってきた。
プロデューサーと麗は慌てて立ち上がり、圭はマイペースにゆるりと立ち上がった。

「お疲れ様。今日もよかったよ。次もぜひよろしく頼むよ」
「はい!ありがとうございます!!」

プロデューサーががばっと頭を下げると、2人もあわせて頭を下げた。
そして、今日の収録についてや、最近の業界の動向等、真面目な話をしていた…と思ったら。

「…ところで…君は独身だったね?」
「え?は、はい、まぁ…」
「お見合いに興味ないかな?」
「!?」

と、突然の誘いを受けた。

(え、えええ…こんなとこでいきなりそんな話されても…ないけど、素直に「ないです!!」とは返せない…ええとええと…角が立たないようにしないとーーー…)

あわあわとするプロデューサーを、麗はハラハラと、圭は静かにじっと、見つめていた。

「も、申し訳ありません、私の人生、この2人に捧げているので!!家庭を持つなんて、今の私には考えられません。私、不器用でして…」

プロデューサーが、2人を左右の手で引いて、あはは、と苦笑いすると、チーフプロデューサーもフッと息をついて苦笑いをした。

「…そうか、残念だ。君のような人なら…と思ったんだが。それでは、この話は忘れてくれ。またよろしく頼むよ」
「はい!ありがとうございました!!」

それだけ言うと、チーフプロデューサーは控室を出ていった。
しばしの間を置いて、ふにゃふにゃとプロデューサーは椅子に座り込んだ。

「ふ〜〜〜…いきなり何かと思った〜…」
「断ってしまって大丈夫だったのか?…いや、その、貴殿に望まぬ見合いをしろと言うわけではなく…私たちが負担をかけてしまっているなら、申し訳ないと思って…」
「ううん、そんなことないよ!こちらこそ、言い訳につかってごめんね。でも、事実だからね!今の私には、2人のプロデュースが一番したいことで、お見合いなんてする時間があるなら、2人のためにやれることをしたいから」

プロデューサーがにこっと笑うと、麗はほっと胸を撫で下ろした。

「お見合い、か…プロデューサーさんは、結婚したいの?」
「うーん、今のところは別に…まあ、良いご縁があれば、やぶさかではないですが」
「ふぅん…そうなんだね」
「そういう都築さんはどうなんです?」
「僕かい?…僕は結婚というものになんの憧れもないし、誰かと暮らす、という想像もつかないけれど…」

そこまで言うと、圭はプロデューサーと麗を見た。

「…でも、そうだね。プロデューサーさんと麗さんと一緒に暮らせたら、楽しいかもしれないね」
「あはは、なるほど」

そう返しながらも、プロデューサーは心の中で(一緒に暮らしたら、麗くんが心労でハゲちゃいそう…とか思わないでもないけど)と呟いた。
その考えを吹き消すように、プロデューサーは麗に向き直った。

「麗くんは?」
「わ、私か…!?」
「そうだよぉーあと2年もしたら、麗くんだって結婚出来るようになるんだよ」
「そ、そうか…考えたこともなかったな…」

困ったように考え込む麗を見て、ほほえましいなぁとプロデューサーは頬を緩めた。

「ああでも、麗くんの結婚式とか、号泣する自信しかないわ…」

(というか姑みたいになりそう。大丈夫かな、私。気を付けよう)と、そっとプロデューサーは独り言ちる。

「ふふ、プロデューサーさんは、麗さんのこと、大好きだものね」
「都築さんのことも大好きですよー!…都築さんの結婚式は、あんまり想像ができないですけど」

プロデューサーは(…安堵と同時に、先々の想像をしてハラハラしてしまいそうで、泣いてる場合じゃない気がするんだよねぇ)と心の中でそっと付け足した。

「まあ、その時が来たら考えます!今は、3人でトップアイドル目指して頑張りましょ!」
「うん、そうだね」
「ああ!」

そうして3人は、決意を新たに笑いあったのだった――




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