エンドロールに息を潜めて




「僕は、ふたりは結婚するものだと思っていた」

 3年前、デュースにエースと別れたという報告をした時、そう言われた。私も、口には出さずともぼんやりそう思ってた。だって学生の頃から数えて5年も付き合ってたし。別れた直後は実感が湧かなかったのか、人生どうなるか分からないものだなあとどこか他人事のように思っていた。別れてから3年、この世界に来てエースやデュース、グリムたちと出会ってからはもう10年が経とうとしていて、こうして振り返ってみると時の流れは早い。

 別れた理由を、今となってはよく覚えていない。きっかけは些細なことで、すれ違いや日々の小さな不満とか、積み重なったものが爆発して、言い合いになってしまった。あの時どんなことを言いどんなことを言われたのか、全く覚えていない。ただあの日、私の家から出ていく直前「もういい」とエースが私に言い放った時の顔と声は今でもハッキリと覚えている。それ以降エースは家に来ることは勿論、連絡が来ることもなかった。私も意地になってすぐに連絡しなかったせいで、連絡をするタイミングを見失ってしまい、それきりだ。
 それから何人かの男性とお付き合いしたものの、何となく合わなかったり、何だかしっくりこなかったり。事ある毎にエースなら、そう思ってしまう自分が嫌だった。未練がましい。エースはきっと私のことなんか忘れてよろしくやっているのだろう。絶対に見ないと決めてもつい定期的に見てしまうエースのマジカメには、見る度に違う女性との写真が載せられていた。

 私の何が悪かったんだろう、なんて言うつもりはない。そもそも私はこの世界の人間ではないし(正直元の世界に帰れるとは思ってないけど)性格だって可愛げがあるようなものじゃないし。エースはあれでいて何だかんだよく気が利くし、優しいところもあるし。顔も普通に、いや、かっこいいし。まあつまるところ、私なんかには勿体ない、私には不釣り合いな人だったのだ。




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