こんな感じの兄妹です
大学生の私には、6人の兄さんがいる。
全員ニートだけど、それでも私にとっては大切な兄さんたちだ。

「ただいまー」

サークルの飲み会を終えて帰ってきたのが12時すぎ。終電ギリギリで帰ってこれたけど、いつもより遅くなってしまった。ガラガラっと家の戸を開けると、真っ先に飛び出してくる影があった。

「ナナ子!! 大丈夫か、変なことされてないか!?」

カラ松兄さんだ。いつもは壁にもたれかかって腕を組み、カッコよく(?)キメているのだが、今日は珍しく取り乱していた。

「う、うん、大丈夫だよ兄さん。心配してくれてありがとう」

笑顔で伝えてみたけれど、いまだ玄関で両手を広げオロオロするカラ松兄さん。その背後から、他の兄さんたちが現れた。

「カラ松ぅ〜、ナナ子ももう20歳なんだよ? あんまり過保護すぎるのもどうかと思うね」

「そんなこと言って兄さん、ナナ子が帰ってくるまでずっと時計とにらめっこして、僕に連絡ないかって確かめてたじゃん」

「っ、仕方ねーだろ!たったひとりの妹が心配で何が悪い!」

「ちょっと2人とも……カラ松も、いつまでもそんなとこ突っ立ってたらナナ子が入ってこれないだろ。ナナ子、こたつ暖まってるからおいでよ」

「あ、ありがとうチョロ松兄さん!」

「……風呂入るでしょ。沸かしてくる」

「一松兄さんもありがとう!」

「んじゃ俺、水取ってくるね!!」

「あっ十四松兄さん無理しないでね……!」

みんなに声をかけながら居間に入る。広くないこの空間は、帰ってきたって感じがしてなんだか落ち着く。

なんとなくみんなでこたつを囲んでテレビをつけると、一松兄さんと十四松兄さんが帰ってきて、同じようにこたつを囲んで座った。
十四松兄さんの入れてくれた水を飲む。別にそこまで酔っているわけじゃないので必要もないのだが、兄さんの厚意が素直に嬉しかった。

「兄さんたち、大好き」

呟くような言葉だったけれど、この小さな部屋の中なら充分届いただろう。テレビの方を向いていたおそ松兄さんは、振り返ってニカッと笑った。

「俺たちもお前が大好きだよ、ナナ子!」

それは間違いなくおそ松兄さん1人分の声だった。しかしそこには確かに、6人分の愛があった。
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