「もう、別れよう…」


あれから一週間近くがたつ。

お互いが忙しくて中々時間が合わなかった。


そんな中なんとか時間を作ってわずかな時間でも一緒にいようと思って、がんばって作ったのに。


たぶん彼だって同じ気持ちだったと思う。


なのに、なんでこんな事になってしまったんだろう。

〜愛のしるし〜


ケンカはささいな事だった。


〜約一週間前〜


「ねえ、来週は休みとったんだよね?」


だって、今年は特別だったんだ。来週は彼と付き合ってからの10年目の記念日。

もちろん、大野君は毎年覚えていたので、今年も予定を空けてると思っていた。

「悪い、来週も無理っぽい、残業とかになると思う」

「えっ…来週何の日か知ってるよね?」


「ああ…?」


えっわかんないの?


「来週付き合ってからの10年目の記念日だよ!」


「ああ…」


ああ…って


「なんとか、できない?」

「今、インフルエンザ会社でも流行っていて、人数足りないから、無理だな」


そんなはっきり言わなくたって


「わかった。もういいっ!」


「何怒ってんだよ」


「別にっ!」


「しょうがねえだろっ!仕事なんだから、お前だって、マンガの〆切前なんて、絶対休めねえだろ?」


わかってた。


今年は大野君が就職してから1年がたっていて、仕事も慣れてきて大事な時期だから、忙しいという事を。

でも、私は記念日が、もう何ヵ月も、前から楽しみにしていて、今月も、仕事を早く終わらせるようにがんばった。


だから、大野君も少しでも同じ気持ちで、仕事がんばっていると思っていた。


でも…態度と…


「いつまでも、ガキじゃねえんだから、それくらい、我慢しろよ!」


その一言が引き金になった

大事な記念日をそれくらいって、ヒドイよ!


その後、私は何を言ったか覚えていないくらい、今までたまっていた事を、言ってしまった。


言いたくない事まで。


止まらなかった。


「もう…わかった…」


…別れよう…


あれから一切連絡はとっていない。


当たり前か…別れたんだもんね。


いつも一緒にいるのが当たり前だと思っていた


ずっと一緒にいると、良いとこも悪いとこも、よく見える。


全部わかっていたはずたった、理解してたはずたった。今回だって、次の日になったら、電話が来ると思っていた。


でも、今回は違った。


あーあもう〆切まで、原稿終わったし、終わったら、たくさん楽しい事がいっぱい待ってたはずなのに…


今、私から見えるのは、この散らかった部屋だけ。これが現実。


TVをつけ寂しさを、紛らわし、部屋を片づける。


すると、ふとパンフレットが目についた。


あ…大野君と記念日に一緒に行こうと思っていたとこだ…。


いよいよ明日か…


ってもう、関係ないや。


はぁー…あっ、しかも、うちに置いてある、大野君の荷物どうしよう?


大野君の家の鍵も返さないと…うちの合い鍵も返してもらわないと。


電話するの気まずいな〜
メールしよう。


メールしても返事がこない。


いつもなら、すぐに来るのに、おかしいな?


まあ、明日まで待ってみよう。


次の日…


あっ、もう昼だ、ヤバい寝すぎた…


メールはっと…。
おっかしいなー、これは、絶対おかしい!


ケンカしても、大野君は無視された事は一回もないし、ちょうどお昼休みだから、電話してみよ!


プルルル〜


つながった!


プルルル〜


中々でないなあ…まだ、仕事…


「もしもし…」


あっ出た!


「もしもし、あたしだけどさー」


「うっ、ゴホ!ゴホッ!」

ツーツー


切れた…


それから、何回連絡しても通じない


すごい咳だったけど…
もしかして…インフルエンザ!?


とりあえず、大野君の会社に電話をしたら、今日は会社を休んだという事だった。


しかも、あれから電話でないし、倒れたんじゃ!?


嫌な予感がして私は忙いで大野君の家へ向かった。



ピンポンピンポン


やっぱりでない。


ガチャ
合鍵でドアを開けたら


大野君が、ゼーゼーしながら、ぐったりして、ベッドに横たわっていた。


「大野君!大野君!」


「ゼェーさく…ら?ゼェーな…んで?」


大丈夫意識は、あるみたいだ。


「歩ける?」


「なんとか…」


私は急いで病院に大野君を連れていった


検査結果…
新型ではなく、季節型のインフルエンザだという。


薬も処方してもらってなんとか落ち着いた大野君。


「さくら…」


「何?」


「悪かったな」


「だってしょうがないよ!高熱で動けなかったんだから」


「いや、今日、本当は記念日だろ?」


「でも…それは…もう…」


「結局インフルエンザなんかにかかって、休むくらいだったら、最初から、前もって仕事休みとっておけば良かっんだ。
なあ、さくら、そこの引き出しの2段目開けてみろよ」


「え?うん」


引き出しを開けると…


1つの小さな箱がでてきた

「開けてみろよ」


「うん?」


中を開けると


「これは…」


プラチナであしらうわれたリング真ん中には…光るものが。ダイヤだ!?


「こ、これって」


「この前は、ケンカしてあんなこと言ったけど、本当は数ヶ月前から、記念日のために手配してたんだ。」

そっか、やっぱりちゃんと覚えててくれたんだなのに私…


「でも、仕事だから色々、どこで渡すか考えてて、この前も、さくらに記念日の事言われた時の、本当は焦ってて、イライラしてたんだ。
しかも、あんな事までなっちまって、はぁー。かっこわり」


大野君…


「これ渡してやり直すつもりだったんだ。本当にあの時はごめんな!」


「私も、大野君の事考えないで、ヒドイ事言ってごめんね!」


「さくら…」


「ん?」


「結婚しよう」


「!?へ?そしたら、これって…」


「エンゲージリング。ティファニー定番だろ?」


「えー!?えー…嬉ひぃよぅ。うわぁーん」


ガバッ!大野君に抱きつく

「おいっ!風邪うつるぞ!」


「グスッもうちょっと…このままで…」


長年付き合ってこの瞬間を何度、夢みただろうか


「愛してるよ」


「あたしも、愛してる」


これは、奇跡でも、運命でも、偶然でも、必然でもなく、確かに愛は育っていたんだ。



「リングはめてみろよ」


「やだっ!」


「なんだよ」


「大野君にはめてもらいたい」


「…じゃ、はめるぞ」


「うん…」


私の薬指にピッタリ収まる

「…ピッタリ!」


この10年間ゆっくり、愛を育んで、途中で離れても、また、くっついちゃうくらい、私達の絆は強くなったんだね。


「………」

ウットリ
「はぁーこれが永遠の輝きかぁ?見てー!
???クスッ寝ちゃった。」


大野君、今日は、珍しく恥ずかしがらず、たくさん言葉言ってたけど、熱あったからだよね、まさかプロポーズも覚えてなかったら、どうしよう!?


そんな、ささいな心配よりも、これからの結婚式の用意の方が大変なのを、私達はまだ知らない。


人生にゴールはないけど、後悔だけは、したくない。
今、確かに生きている、幸せのこの瞬間(とき)を大切にしたいと思う。


そして、これからもずっと私の目の前にあなたがいる限り。


END









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