〜Flowering Of The Heart〜


桜が咲く季節。


中学二年生に上がった新学期。


仲の良い友達とは離れてしまい、まだクラスに馴染めない私は一人、昼休みにひらひらと舞う花びらに誘われて、校庭の桜の木の下にやってきた。


私は春の陽気の暖かさが心地よくて、今にも眠りにつきそうな、その時だった。

桜の木の裏側から声が聞こえてきた。


「あ、あの…ずっと前から好きでしたっ!!良かったら付き合って下さい!」


「悪いけど、俺、あんたに興味ないし。今、部活で忙しいから、そういうの考えられねーんだ。」


「そ、そうですか、わかりました」


タッタッタッ


あっ、あの女の子泣いて帰っちゃったよ…


チラッ
男子の方を見ると大野君がたっていた。


「あっ…」


しまった声だしちゃった。

「さくらか…お前も盗み見か趣味わりぃな」


「ち、違うよ!せっかく気持ちよく寝そうになってたのに、そっちが勝手にやって来たんじゃん。
それにしても、断るにしても、もうちょっと言い方あるんじゃないの?あの子…泣いてたよ…」


「だって好きでもない奴と付き合えるか?ああいうのは、はっきり断ってやった方がいいんだ」


「うっ、まあ確かに」

的確な事言ってるだけに、言い返せない。


大野君は、なんでもできて、かっこいいとは、思うけど、競争率高いし、みんな、ぶっきらぼうな、この男が本当にいいのかねぇ?


「しかし、新学期早々罪な男だねえ」


「うっせーよ。さくら、お前こそ短い休み時間でよく昼寝できるなー」


「だって気持ちいいんだもん。春の陽気でポカポカしてるし、桜見てるだけでも、和むしね。
大野君、あんたも、サッカーボールばっかり見てないで、たまにはこう、桜見てゆっくりするのもいいよ」

「ふーん」

大野君も、ゴロンと寝転んだ。


「まあ、そうだな桜見てゆっくりするのも悪くはねえな」


「でしょ?でしょ?最近ここ見つけたん…だ。」

スースー

なーんだ大野君だって寝ちゃってるじゃん。


いつも、部活で朝早いもんね。

太陽に照らされた大野君の寝顔は本当にキレイで…

黙ってれば、本当にかっこいいのに…

クスッ
寝顔だってかわいいし。

本人に言ったら、怒られるだろうな…

ウトウト
ふわぁ…なんか、まる子も眠たくなってきた。


私もつい眠りについてしまった。


キーンコーンカーンコーン。

「ん…?ああっ!もうお昼休み終わっちゃったよ」


あれ?大野君いないし。起こしてくれれば良かったのに〜。


起き上がると

バサッ…

「あっ、学ラン…」

中を見ると、大野と刺繍が入っていた。


「大野君のだ…」


私が寝てる上にかけてくれたんだ。


そう。でも大野君って昔から、硬派というか、頑固というか、言葉が乱暴だったりするけど、さりげなく優しかったりするんだよね。

「おっと、あぶない。教室行く前に、早く大野君のクラス行かないと、大野君困ってるよね。学ラン返しに行かないと。」


大野君に優しさを感じた、まる子も。


まる子にだけ、さりげない優しい大野君も。


お互い、少しずつ惹かれあってる事をまだ気づいていなかった。


開花し始めた2人の気持ちだったが、満開になるのは、まだまだ先の話である。


〜おまけ〜へ
(おまけは、本編とまた、雰囲気が違います)


〜おまけ〜

ガラッ。
「大野君います…か〜?」

ギロッ

うわぁー女子の視線がイタイ。

「あっ、いたいた大野君。学ランありがとね!」


「大野、お前いないと思ったら、この女子といたのかよ?」


「俺はたまたま、違う女子に呼び出された後…」


サラリ
「一緒に寝てただけだよね?」


「さくら、お前その言い方だとアバウトすぎ…」

ざわざわ…

ボソボソ
「えー、まさか大野君がショック…」


「うわぁー大野。新学期早々、大胆!さわやかそうな顔してやる事早いんだな。どーなってんだよ?」


「違っげーよ。さくらとは、なんもしてねーし。ってかお前の頭の中がどーなってんだ?お前は、そういうことしか考えてないのか」

ヒソヒソ
「ほら、やっぱり大野君、なんでもないって言ってるよ」「大野君がそんな事するはずないじゃんねえ。」


「ねえ?大野君なんで、こんなに、みんなビックリしてるの?一緒に寝てたって言ったのがまずかった?ナイショにしてた方が…」

ざわざわ

ヒソヒソ
「えーやっぱり寝てたって言ってるよ、あの女子。どっちなんだろう?」


「お前は、話ややこしくなるから、もうしゃべんな!」


「なにさ、せっかく、ありがとうって学ラン渡しにきただけなのにさ。ふんだ。じゃあね!」

ガラッ!ピシャン!


女子には、睨まれるし、大野君は冷たいし、ちょっとでも優しいと思った、まる子がバカだったよ。
大野君を好きになる事はないな。


「おいっ、彼女帰っちゃったぞ」


「だから、最初から、あいつは彼女でもないし、なにもしてねんだって!」


ボソボソ
「ほら…やっぱり彼女でもなんでもないみたいよ。大野君があの子じゃ合わないわよね」


「なんだ…つまんねーの」


あんな空気も読めない、鈍感な女。疲れるし。
さくらを好きになる事はないな。


今はこんな感じだか。

もう一度言うが2人の気持ち、満開になるのは、まだまだ先の話である。


〜END〜











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