屋上の高台。
僕のお気に入りの場所。
誰もこない。静寂な時間。ただ寝転んで空を見上げる。
ここにいると君の事を忘れる事ができる特別な場所
「ひこうき雲」
だけど僕はみつかった。
「ひーらばっ!」
「さくらか…」
神様はいじわるだ。
皮肉な事に君にみつかるなんて…
「いつも休み時間いないと思ったらこんなとこにいたんだ」
「ああ…」
「ここ気持ちいいねーまる子も、ひなたぼっこしよ」
僕の隣に彼女は横になった
「本当誰も来ないんだね」
「来たとしても、ここまで来る奴はいないよ」
「ふーん…あっ!ひこうき雲!!」
ひこうき雲が空高く、ぐんぐんのびていく
まるで僕の気持ちを表してるみたいだ
僕たちはひこうき雲を一点みつめる
「いつもここで何してるの?」
「ただーぼーっと空みてるだけ」
「ふーん。わかった!この前言ってた好きな子の事考えてたんでしょ?」
違う逆だ、僕は考えないようにしてたんだ。好きな子の事。そうさくらの事は…
「最近なにか進展あった?」
「いや、もういいんだ」
「えっ?なんでー?」
さくらと大野が付き合い始めたから…
「なんか、彼氏いたみたいなんだ」
「そっか…でも気持ちだけでも伝えた方がいいんじゃない?」
言えるはずがない君が好きなんて
「ううん…本当にいいんだ」
「そっか………。」
それ以上さくらは何も聞かなかった。
再び、ひこうき雲を見つめると、雲はもう…のびず今にも消えそうだ
「さくらにしては、めずらしいな。大人しいじゃん」
「いやー落ち着くなーと思って」
「ここいいだろー?」
「場所もそうだけど、なんか、ひらばといると落ち着くね…」
胸がざわっとする。
僕はさくらといたら落ち着かない…それは…
「さくら…そんな事言うと大野ヤキモチ妬くぞ…」
僕は常に冷静を装う
「だって大野君といたら、ドキドキして、落ち着かないんだもん」
そう僕も君といたら胸の鼓動が大きくなって、いっぱいいっぱいになるから、落ち着かないんだ
「それだけ大野の事好きなんだってことだろ?」
そうそれだけ、僕は君が好き
「…うん。そうだね」
さくらは素直だ
僕も素直だったら…
何か変わっていただろうか…
彼女の照れる表情(かお)につい触れてしまった
彼女の体温が伝わってくる
想いを伝えてたら
この表情(かお)も、体温も僕のものになっていただろうか…
「どうしたの?ひらば。顔真っ赤だよ?」
ギュッ!
「イタタなにすんのさー!」
ほっぺをつねってごまかした
「もうそろそろ、休み時間終わるぞ」
「あっ、次、移動教室だ、戻んないとっ!ひらばはー?」
「いや俺は、もう少しここにいるよ」
「そう?ねえねえまた、ここに来てもいい?」
君にお願いされたら、断れるはずないのに
「ああ…今度俺がいない時大野と来いよ。何しても誰もこないぜ」
最後まで君への想いを気づかれないよう。僕は毒をはく
「もうっなに言ってんのさ!!…じゃーまる子行くね」
そして彼女は戻っていった
危なかった…僕は何をしようとしてたのだろう。
(ひらばといると落ち着くね…)
彼女の、この言葉で僕は十分だったのに…
でも神様…少しくらい。俺、自惚れたっていいよな?
そして僕はまた空を見上げる
見上げた先にはひこうき雲が後かたもなく消えていた
僕もいつかは、君への想いは、消えるだろうか…
あのひこうき雲のように…
[END]
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