空に白い息が舞い上がるくらい寒い日
そんな日は僕は思い出すんだ
君と過ごした、ある冬の日を…
「Snow Piece Memories」
「ひろし君ーおはよう!」
「あっ、おはよ!今日も寒いなー」
「ねー寒いよねー本当は外になんてでたくないくらいだよ」
「何もったいねえ事言ってんだよ、今日、初雪降るんだぜ」
「えっ!雪降るのー??初雪見たいなー!」
「だろ?だから、俺、待ってんだ。初雪降る日」
「まさか、その瞬間写真撮るとか言うんじゃ…」
「そうだけど…あたりまえだろ?めったに清水に雪降らねえからな」
「だって、いくら冬休みって言ったて、外にずっと居るのは大変だよ?風邪ひいちゃうよ?」
「俺は冬の日でも、毎日外に出てるから大丈夫だ」
「ああ…そうでした。毎日散歩してるもんねシャッターチャンス狙って」
「じゃあ、俺はこれで…」
「待って、あたしもヒマだし付き合うよ!」
「いいけど…お前こそ風邪ひくなよ?」
「大丈夫だって!どこらへんで撮るの?」
「空気が澄んでるところの方が、雪もキレイに撮れると思うから、裏山の方まで行こうと思ってたとなんだ」
「うん、わかったよ行こう!」
「う〜寒いねぇー山だから尚更、寒いよー」
「山行くときは、最低でも、長袖2枚は着ないと寒いぜ!」
「そっかーまる子1枚しか着てないや」
「…ほらよ!」
僕は、彼女に上着を上からかけてやった
「えっ!いいの、ひろし君寒くない!?」
「いいよ、俺は慣れてるし」
「ありがとう!」
カシャ!
早速、彼女の笑顔をフィルムに収める。
その後どんどん、進んで、切り株のある所へ着くとそこで、一休み。
そこは、色とりどりの落ち葉で埋まっていてまるで、絨毯みたいだった。
彼女は切り株に座っている間
僕は、色んな写真を撮っていた
「雪、降らないねー。」
「昼には降るって言ってたけどな」
その割には、雪が降るとは思えないくらい、太陽が降り注いでいた
「でも、ここ静かで落ち着くね」
「ああ、俺も時々ここに来るんだ。たまに、リスとかもいるし。」
「えぇー!?リス?いいなあーいいなあー見たいよう」
「でも、寒いから、どうだろうなあ?いねえかもしんねえけどなあ」
「そっかー残念。その時写真撮れた?」
「バッチリ撮ったぜ!後で見せてやるよ!」
「うんっ!」
そして俺達は裏山へと向かったそうしてるうちに、どんどん雲の流れが早くなり雲行きがあやしくなってきた。
「なんか、すごい雲もでてきたね」
「これじゃー雪か雨かどっちが降るか微妙なとこだよな。残念だけど、今日は戻るか…俺はいいけど、お前風邪ひいたら困るし」
「そっかーうん、そうだね」
戻ろうとしたときだった
「あっ!」
僕の帽子が突風に飛ばされたが、彼女がすぐキャッチしてくれた
「はいっ」
「サンキュ!」
「あー!!」
「どうしたんだ?」
「ひろし君ダメだよ!なんで手袋はめてないの?すごい冷たいよ?」
「シャッター押す時とかすべるんだよ」
「でも、今、カメラ使わないから、こうしたらちょっとは寒くないよ」
彼女は僕の手を包み込んだ。
「ほら、あったかいでしょ?」
「ああ、あったかい…」
そんな彼女の無意識にする行動がいつも僕の胸を熱くさせる。
とともに、胸が苦しくなる。だって彼女は……。
そんな苦い思いを隠すように
歩いていつもの僕の小屋へ2人で戻った。
「今、ココア持ってくるから、さっき言ってたリスの写真そこにあるから、見て待ってろよ」
「うん!」
そして、僕はココアを持ってきて、いつもと同じ
彼女と一緒に、まったりとした時間を過ごす
「ここも、立派な小屋になったよねーだいぶ家って感じがしてきたよ」
「結構色んなもん、持ってきたからなー。」
「ストーブもあるしソファーもでかくなったしねー」
「あーあ、こんなのんきしてられんのも今日だけかもなあ」
「受験だもんね…」
でも、良かったそんな日に彼女に会うことができて。
「じゃー当分ここにも来れないのか、さびしいね」
「別に、来てもいいんだぜ」
「ううん、勉強の邪魔しちゃ悪いから、たまに顔だすよ」
当分カメラを使う日が少なくなるのも辛いが、それよりも…彼女の顔が見れない方が、もっと僕にとっては辛かった
「なんか、ポカポカして暖かいから眠くなってきた…ちょっと眠らせてもらうね」
そういうと、彼女はソファーですぐに眠りについしまった。
僕は毛布を持ってきて、そっとかけてあげた。
彼女の寝顔は、とても無邪気でまるで赤ん坊のようだ
見てるだけで、自然に笑みがこぼれてくる。
カシャ!
そんな彼女の寝顔もそっとフィルムに収めた。
彼女の寝顔見てるうちにつられて僕も寄り添って眠りについてしまった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(ひろしくーん!)
(よう!あれ…あいつは…)
(あのねーまる子…実は大野君と付き合うことになったんだ…)
(あ、ども…)
(へー……良かったな、じゃー記念に1枚撮ってやるよ…)
カシャ!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「…っと!ちょっと!ひろし君起きて!!」
「んっ!?う〜ん」
「雪だよ!雪が降ってるんだよ!」
ガバっ!
また、あの夢か…そう、彼女は大野という彼氏ができた。
だから、彼女と会うと嬉しい反面、胸がしめつけられる。
「外、行こうぜ!」
「うん!」
外に出てみると
あれから、どれくらい時間がたったのだろうか…
一面が銀世界になっていた。
しかも積もりたての雪。
足跡も何もついてない、場所に
僕ら二人は1歩1歩踏み出す
「すごーい!真っ白だよ!」
彼女はとても、嬉しそうにはしゃいでいる
雪の降る景色に彼女の笑顔がはいってくる
なんて最高な風景なのだろう。
僕はすかさず、シャッターをきった。
「ひろし君も写真ばっかり撮ってないで、みてみて!雪の結晶!」
「ん、見せろよ」
「あーあ早く来ないから溶けちゃったー、よしもう1回探そう」
カシャ!
「あーもうっ!また写真ばっかり撮んないで、手伝ってよう」
「しょがねえなあ」
僕はいつも、こんな日常がずっと続けばいいと思ってたんだ。
彼女に彼氏ができる前までは。
それでも、いつもと変わらない笑顔で寄ってくる彼女を見て、思ったんだ。真っ直ぐな君を傷つけたくない。
僕は彼女の幸せを願うことだけ。
「キラキラしてるな…」
「ん?何がキラキラなの?雪?キレイだよねー!」
「はぁー…キラキラしてるよ…やっぱり好きだ…」
本音を零した白いため息は、空高くあがって消えていった
そして、この日、彼女に伝わらなかった密かなこの想いは、静かに雪みたく溶けていき、雪は僕等を包み込んでいった。
僕の想いも君の笑顔もすべて。
次の日、昨日雪が降ってたのが嘘みたいに、雪が溶けてなくなっていた。
まるで昨日の出来事が夢だったかのように。
あれ以来、清水には、雪が積もった事がない。
そして現在も僕は、相変わらず同じ場所でシャッターを押している
「あっ、雪だ…」
カシャ!
あの日と違うのは、真っ白ではない景色と…
「今日こそ積もるだろうか…」
君がいない風景
だから、雪が降ると思い出す
あの時、僕しか知らない最高の君の笑顔を。
〜END〜
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