『slept letter』

小さい頃に大事なクラスメイトが転校していって


その子にたった一度だけ書いた手紙。


考えて、考えて


やっと書いたのに


クラスで集める〆切日に間に合わなくて


後で自分でだすと言って


結局だせなかった手紙。


ある日、そんな手紙が、荷造りをしていると出てきた。


手紙は未開封であの時のまま、しまってあった。


なんて書いたかは、すっかり忘れてしまった。


ラブレターじゃないことは確かだ。


でも、これだけは覚えている。


最後に手紙に住所を書いた時に何気なく地図を広げ、場所を調べた。

その時に、とても遠い事がわかった。


大人でも、遠く感じる距離。


子供の私ならその倍以上に遠く感じてたに違いない。

だから、わかっていた。


子供の私でも。


もう中々会えないことが


すると、悲しくなって…


急に悲しくなって…


鍵つきの机のなかに、こっそりしまってしまった事を…


「っい!おいっ!」


「ん?」


「何ボケッとしてんだよ、こっちの荷物終わったぜ」

「ああーうん。ありがとう」

「っとなんだよその手紙?」

そう、彼が言う。


ササッ
「な、なんでもないよ」


ニヤニヤ
「あやしいな…みせろよ」


「えぇーやだよ。何書いたか自分でもわかんないし」

「あっ!こっちにもっと、すげぇもんあるぜ!」


「えぇー!?なになに?やめてよぅ!」


パッ
「よし!とった♪」


「あ゛ー!!ちょっと!」


「おい、この手紙…」


でも、その子が…


もう会えないと思っていたその人が…


「俺…宛?」


今、目の前に居たとしたら…?


「小学校の時大野君が転校していった後に、クラスのみんなから手紙来たでしょ?でも、あたしだけ、間に合わなくて出せなくて…」

ビリビリ

「って、あっー!?」


カサカサ
「いいだろ?どうせ俺に書いた手紙なんだから」


「だって、何書いてあるか…」


「……」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜大野君へ


お元気ですか?
新しいお友達はできましたか?


まる子たちは元気です。


給食にみかんがでると、大野君に盗られた事を思い出します。


でも、もう盗られる事はないと思うと寂しいです。


教室をみると大野君の席だけが、ポッカリ空いていてとても不思議な感じがします。


杉山君の隣にいつもいた大野君がいたので、また大野君がサッカーボールを持ってきて「杉山サッカーしようぜ!」って戻ってくるんじゃないかと、思ってしまいます。


クラスのみんなも、きっと、そう思ってると思います。


新しい友達ができても、まる子たちの事を忘れないで下さい。


まる子も忘れないです。


ずっと、ずっと友達です。

また絶対会えるよね?


まる子はそう信じてます。

さくらももこより
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「でっ?なんて書いてあった?」


「……」


「大野君?」


フッ
「あっ、おう…なんか、みかんを盗られたことを思い出すとか…」


「はぁー…やっぱり…ロクなこと書いてないねー」


「まあ、最初から期待してなかったけどなぁ」


「えーひどいっ!」


ワシャワシャ
「まあ、昔の事だからいいだろ?さぁ、荷造りの続きするぞ!」


「手紙は?」


「俺宛なんだから、俺が持ってるよ」


「ちょっと見せて?」


「…そんなのいいから、早くやるぞ!モタモタしてると夜になるぜ?」


ビクッ
「はいはい。じゃー次は…これとー」


「これは、俺の家にあるから、いらないんじゃねぇ?」


「あっ、そっか…」


そして、そんな彼が今、私の一番大事な人だとしたら?


「こんなに、持ってくのか!?うちに入らねえかも…」


「大丈夫だよ!だって、これも、これも気に入ってるから、絶対持ってくもん!」


カサカサ
「はいはい、わかった、わかった」


「ちょっとーなんでまたその手紙見てニヤニヤしてんの?」


「は?してねーよ」


タタタッ
「やっぱり、それ気になる。見せてよ!」


ヒョイ
「ちっ、わかったよ。終わったら、見せてやるから、集中しろよ」


「やったー!」


あの頃の私はどう思うのかな?


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜あの頃の私へ

私、今とても幸せです。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


END


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