暑い…。


太陽がジリジリ頭を焼きつける。


頭から吹き出る汗を腕で拭い。


真夏日の日曜日。


朝から

デートする相手を待っていた。

『ブルーブルーアイスブルー』


「暑ちぃなぁ…」


でも、来たのは待っていた人とは違う人だった。


「あれ?杉山君?」


「ん?さくら〜」


「デート?」


「まあな…さくらは?」


「んー私も待ち合わせ」


「ふーん」


ミーンミンミンミン…

「しかし、今日暑いよな〜」


「ね〜」


さくらと話をしながら10分が経過した


「何時に待ち合わせしてんだ?」


「ん…実は待ち合わせなんかしてないんだ。ブラブラしてて、誰かいないかなぁって。杉山君が居たからさぁ…もう、行くね…」


いつもと様子が違うさくら


「さくらっ!」


僕はとっさに呼び止めた


「…ん?」


「これから、どっか行くか?」


「えっ…だってこれからデートじゃ…」


「だって、来ねえし。」


「あはは…もしかして、フラれた?」



「おまえ、そいう事サラッというなよなぁー」


「ごめん、ごめん、じゃあ行こう行こうどこ行くー?」


「じゃあ、今日俺の考えてたコースで行こうぜ」


「へぇーどんなデートになるか、楽しみだ〜」


まずは、映画館へ行って、ランチを食べて、ショッピングをして


ごく普通にまわった。


さくらの様子を伺うっても、普通に楽しんでるように見えた。


「えっ、杉山君とデートすると、こんなに女の子扱いしてくれるんだねぇーびっくりだー」


「はっ?普通じゃね?」


「あんた、そういう事サラリとできるから、モテるんだよ。」


「そんなもん意識してねぇし。では、今度はどこへ行きます?お姫様?(笑)」


「あはは!うわぁ、気持ち悪〜じゃあねー海!」


「へいへい。かしこまりました」


電車に揺られて海を目指す


ガタンゴトン…

さっきまで明るかった、さくらの表情が曇る。


僕達は一言もかわさずに電車に揺られていた。


さくらが口を開かないので、僕も開かなかった。


そして、そのまま砂浜に着いた。


騒がしいビーチを背にして


少し離れた方へ歩きゆっくり腰をかけた


そして


さくらが、静かに口をひらいた


「実は…さ。家に居たくなくて出てきちゃった」



「は!?おまえ、まさか家出?」


「ううん、そんなんじゃないんだよ。誰ともケンカだってしてないし」


「じゃあ…なん…っておい!」



さくらは、海へ一直線に走って、飛び込んだ。


僕もすぐに追いかけた。


「着替えもないのに、風邪ひくぞってなっ…!」


ドボン 

さくらは、潜ってすぐに顔を出した

ザバッ


震える声でこう言った


「ねえ、だって、だってさ。なんで、いつも一緒に居るのに。過ごした時間だって私の方が長いのにっ!うちに会いにくる相手はお姉ちゃんなの…」


海水なのか涙なのか、さくらの頬から水が流れる


「大野か…」


さくらは大野が好きだ


大野はさくらの姉貴を


そして僕は…


僕は震えるさくらをそっと包みこんだ

ポンポン

「なあ、まず海から出るか」


さくらの手を引き再び砂浜へと腰をかけた


「たくっどうすんだよ〜俺達びしょ濡れだぜ。近くに、なんかなかったけなぁ」


「ねぇ、なんで何も聞かないの?」


シュッシュッ

「おっ、しまむら近くにあんぞ…ん?俺も気持ちわかるから…」


「えっ?」


「俺もそういう経験してるから…ずっと一緒に居るのに、俺の方には向いてくれなくて…いつも、向いてるのは…っと、俺着替え買ってくるから、おまえは、そこで頭冷やしとけ」


「…」


タッタッタッ


僕はさくらが好きだった。


いつも、さくらと大野と一緒に居ても、さくらの見つめる先にはいつも、大野がいた。


今のさくらは、前の僕。


きっと、今のさくらなら僕の気持ちがわかるはず


僕もさくらの気持ちが痛いほどわかる

そして大野もそうだ。


決して交わる事のない


無限に廻る想いたち


だから、僕は流れを止めた。


あきらめたんだ。


だからって応援する事すらできない。

僕はそんなにいい奴じゃない。


タッタッタッ



そしてあたりは、すっかり日が暮れてしまった


「おーい買って来たぞ…ってあれ?さくらどこ行った?」


「あっ杉山君見てみてー!きれいな貝がこんなに!」


「はぁーおまえなぁ…のんきに、俺がどんだけ恥ずかしい思いして女物買ってきたか…白い目で見られて…大変だったんだぞ…」


ガサガサ
「さすが、杉山君!センスいいね!私着るような服で良かった♪フリフリとかだったらどーしようかと…」


「…趣味じゃねぇよ」

ボソッ
「そっか…ちゃんといつも、見てくれてたんだね…そっか…」


「ん?」


「ううん、さて近くのコンビニに着替えに行こう!」


ガチャ
「おーい終わったし帰るぞ…またいない…もう慣れたけどね」


「じゃん!花火セット特価コーナー980円なり…やって帰ろ♪」


「はいはい…今日はとことん付き合いますよ」




夜の海辺にて


シューッ
「花火ってキレイだけど儚いよね…」

「まあな…」


「特にこの線香花火の終わりかたなんていったらねぇ…私の想いもこんな風に儚く終わっちゃうのかなぁ…ほら落ちた」 


「それは、おまえ次第だよ。この線香花火だって同じく初めても、ほら、まだ落ちないだろ?そんなの、行動してみないと、どうなるかわかんないんだ」


「自分はあきらめたのに?」


「…俺はそれでいいんだ」


「ごめん…」


「あっ落ちた…ボソッやっぱ線香花火って儚くて、さびしいのな…よし、今度こそ帰るぞ」


「うん…」


ようやく長い一日が終わろうとしていた


電車に揺られて海を後にした


「暑い蒸してるね〜ガリガリ君食べたーい。もちろん梨味。」


このペースいつものさくらだ


ボソッ
「ふぅー疲れた。ほんとあきらめて良かったんじゃねえか俺…ハハッ」


「ん?なんか言った」


「俺はやっぱソーダ派だけどね〜」


「えー梨味でしょ〜?」


「いーや。ソーダだね〜」


その後


その後結局それぞれの好きなアイスを食べ


「心配だから家まで送るわ」


「もう、大丈夫だよ…やっぱりお願いします」


「ねぇ?手、繋いでもいい?」


「ああ…」


ギュッとしっかり握ってくる手


僕は軽く握りかえす



「一番梨味が好きなんだけどね」


「ん?ああ…またアイスの話かよ…」


「やっぱりソーダ味も、食べてみたいなぁーなんて…」


「ほい、食べるか?」


「こっちがいい…ペロン」


猫みたくイタズラっぽく僕の頬を舐めくちびるへ移った


チュッ


「んん…ってなっ!さくら…」


「だって、行動してみないと、どうなるかわかんないんでしょ?今日はありがとう!おやすみ!」


ぼーぜんとする僕


「おやすみ。歯みがけよ…」


ドリフみたいな台詞を言うのが一杯一杯だった。


頭の中でハテナが浮かびまくり、ほとんど眠れなか った翌日


昼休みの屋上にて


パシンッ!


昨日待ち合わせしていた彼女からの鉄拳をくらった


「昨日ずっと待ってたのにっ!しかも、友達から他の女と歩いてたって聞いたわっ!ひどいっ!最低っ!」

タタタタタッ


「ハハッ。少しは目覚めたかも…」


実は昨日フラれたんじゃなくて、待ち合わせに早く着きすぎた僕は、どうしてもほっとけないさくらの傍にいる事を選んだ。


待ち合わせに向かってる彼女が遠くからチラリと見えた時の服装がコテコテのフリフリだったからではない…決して…そうではない…はず」。


「うわぁー痛そう…」


「さ、さくら見てたのか…」


「良かった、私ってバレてなくて、私もやられるとこだった…昨日はありがとう!」


何事もなかったように普通通りのさくら


「なんなんだよ〜すっかり元気じゃんしかも…ボソッ昨日眠れなかった俺はなんだったんだ…」


ヒソヒソ
「また、海へ行こうね!ヘヘッ」


と僕の耳元で小声で話すさくら


「じゃーね!」


耳元がまだ熱い


「やっぱり俺は…さくら…。アイスはソーダ味が一番好きだな…買ってこよ…」


今年の夏もまた


このアイスに夢中になりそうだ


〜END〜


















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