ギュッと抱きしめられても…わかるよ。
あたしの方に気持ちが注がれてないこと…
あなたの見つめる先にはいつもあの子がいたんだ
「First Love From Me」
さかのぼるは、新学期。中学2年生に入り、小学校以来、久しぶりに、彼、平岡秀章と同じクラスになった。
彼と出会うまで
他の男子はあたしが、頼めば嫌な顔せず、喜んでなんでもやってくれて、下心が見え見えで…
その時は、
男の扱いなんて簡単だと思っていた。
でも彼だけは違ったんだ。
あたしにとって、彼は、唯一普通に接してくれる人だった。
それが何か新鮮で…どんどん気になって、あたしは惹かれていった。
でも、彼の表情が変わる時がある。
いつも見ているから、すぐわかった。
その視線は、いつも、さくらさんの方だった。
彼はさくらさんに惹かれているんだ…。
彼の想いを知っていたからこそ、あたしは告白ができなかった。
いつものあたしらしくない。
いつもなら、気に入った人なら、告白したり、されたりして、すぐ付き合うのに…
自分がこんなに慎重なんて…
これがきっと初恋ってやつなのね…
自分がこんなに彼の事を好きなんだということが改めてわかった。
気持ちも伝えられないまま月日がたつ。
そして今から
一週間前の事だった…
彼はさくらさんに、想いを伝える事もできず…
失恋してしまった
それは大野とさくらさんが付き合い始めたから
彼はあきらめた。
あきらめた??
いや。想いを封印してしまっただけ。
彼が辛い時期にあたしは
「あたし前から、平岡の事が気になっていて…好きみたいなの…付き合ってほしいの」
私は彼に告白した
きっとあたしは、ずるい事をした。
彼が弱ってる時に告白するなんて、こんなにあたしが臆病だったなんて…
「うん…」
彼はオッケイをしてくれた。
彼だって、人肌が恋しかったに違いない。
それで、私たちは付き合う事になって、今にいたる
あたしの初恋が実った…
大好きな彼と、いつも一緒にいられる。
嬉しいはずなのに、気持ちが晴れないのはなぜ??
それはわかっている。
きっと彼はまださくらさんが好きだ
だからあたしの事…ちゃんと好きなのか…気持ちを確かめたい
わかっているんだけど言葉に出したら…
私の前から彼がいなくなっちゃいそうで…
こわかった。
あたしは、きっといつも何か言いたそうな顔していて
彼はそれに気づいていて、何を言いたいかも、わかってるのに違いない
でも、変わらず彼は優しい
その優しさに触れるたびに、あたしはどんどん自分に自信がなくなってきてしまう…
不安になってしまう…
そんな思いをしながら
ある日の帰りぎわ、いつも通り彼は私を家まで送ってくれていた
「ありがとう」
「どうした?改めて…いつも送ってるだろ?」
あたしはもう、限界だった。
あたしらしくない毎日。
不安で仕方ない毎日。
最後はあたしらしく、キッパリ潔くしよう。
「今まで付き合ってくれてありがとう…楽しかった!
秀章は優しいから、つい甘えてしまって…気づかないフリしてたんだ。」
「ん?」
「でも反面優しくされる度、不安でたまらなかった…秀章は…まだ、さくらさんの事好きなんでしょ?」
「!?」
「ふふっやっぱり…だから、もういいの…あたしから解放してあげる…さよなら」
「ちょっと待てよ!」
ヤバい。今振り向くと涙が出てるのに…
笑顔で別れようって決めたのに…
「俺…城ケ崎と付き合っていた始めは、さくらの事好きだったけど…
今はちゃんと城ケ崎の事が一番好きだぜ。素直だし。サバサバしてるし。実は優しいし」
「えっ?」
「だんだん…城ケ崎、日に日に元気なくなっていくから…
俺、人と付き合うの始めてだから、きっと城ケ崎、毎日つまんないんじゃないかなって…心配だったんだけど…そっか、俺が原因だったのか…」
そっか…彼も不安だったんだ。
あたしだけじゃなかった。
でも良かった!ちゃんと愛されていたんだ。
「ふふっ、そっかー嬉しい!」
ガバッ
私は彼に抱きついた
「なら、ちゃんともう一回言ってねえ?あたしの事が一番?」
彼は顔を真っ赤にさせる
「えっ?えっ?」
「…きだよ」
「声が小さいもう一回!」
「好きだよ…一番」
「はい、よくできました!」
彼にごほうびの口づけを交わした
ゆっくり体を引き離され
彼にギュッと抱きしめられる
彼の温もりをゆっくり味わいながらあたしは、最後にもう一度確かめる。
……うん、今度は大丈夫!
ちゃんと愛は注がれていました。
END
←戻る
ALICE+