『period of the love』
寒い屋上にチョコを見つめる女子が一人…
「はぁーあたし何してんだろ…」
2月といえば、女の子にとっての大イベント。
そう、バレンタインだ。
いつもなら、複数の義理チョコしか用意してないものの、今回は1つだけ。
「なんで、あんなヤツ好きになったんだろ…」
私の好きな人は…昔から真っ直ぐで、正義感があって、血の気も多い。
だけど…冷たい。
一人の女の子を除いては。
ガヤガヤ…
ん?誰か上がってくる…
さくらさんと…うん?隣のクラスの女子たち。
なんで、さくらさんと?
「ねえ、話ってなに?」
「なにってなんで呼ばれたかわかんないの?」
「え?」
「あんた、どうやって大野君だまして付き合ったの?」
「別にだましてなんか…」
「だって、あり得ないっしょ?自分と釣り合うとでも思ってんの?」
「……」
「黙ってないで、なんか言えば?」
何あれ!許せないっ!
「ちょっとあんたたち!黙って聞いてれば、好き勝手言って!」
「城ヶ崎さん…」
「あ?城ヶ崎…何?あんた関係ないっしょ?すっこんでな!」
「関係ないのは、あんたたちでしょ?
大野とさくらさんが付き合おうが、二人の問題だし、
クスッ…あんたたち大勢じゃなきゃ何もできないんでしょ?」
「なっ!」
「一人じゃ何もできないくせに、えらそーな事いってんじゃないわよ!」
「何この女ムカツク!」
髪をひっぱられる
「痛っ」
「前から、あんたも気に入らなかったんだよねー。
キレイだからって、なんでも自分の思い通りになるとおもってんじゃねーよ」
「ふんっ。心まで醜いようじゃ、一生さくらさんなんかには敵わないわよ」
グイッ
「まだ言うかっこの女!」
すると…
ドンっ
「痛っー」
「?」
髪の毛から手が離れる
「やめなよっ!」
「さくらさん?」
「あたしの事は、いくら悪く言ってもいいけど、城ヶ崎さんの事悪く言ったり、傷つけたら許さないんだからっ!」
「さくらさん…」
「っ…大人しい顔して何こいつ…ムカツク!」
ぶんっ
「さくらさん危ないっ!」
さくらさんに、平手が降りかかかろうとした、その時だった。
パシッ!
「もう、いい加減にしとけよ!」
大野が、平手を止めた。
「えっ、大野君…」
なによっ!大野が来たとたん、おしとやかになっちゃって。
「ちょっと大野、あんた来んの遅いわよっ!
「うるせぇな」
「大野君、こんな子のどこがいいの?」
「おまえらに、さくらの良いとこなんか、教えたくないね。言っとくけど、俺、さくら以外興味ないから」
ドクン
心に突き刺さる言葉。
それは、ここにいる女子も私も同じだ。
「あと、今度さくらに、何かしたら、ぶっ飛ばすからな!」
ビクッ…タタタタタッ
あまりの迫力に、女子たちは、急ぎ足で帰っていった。
「大野君ありがとう!」
「おまえさー何かあったら俺に言えって言ってるだろ?」
「だって…」
「大野…あんたもわかんないヤツね。さくらさんは、あんたに心配されたくないから、言わなかったのよ!」
「そうなのか?」
「うん…なんとなく大野君の事で話だと思ったし」
「ふぅーこんなんじゃ、先が思いやられるわねーさくらさんの事、大野にまかせて大丈夫かしら?」
「なっ!うるせぇよ」
「まあでも、今回は、私も助かったわ、まあお礼じゃないけど、これあげるわ…さくらさん安心して、もちろん義理チョコだから。2人で食べて」
チョコをさりげなく手渡した
「じゃ、あたしは行くわ」
「城ヶ崎さん、今日はありがとう!」
「じゃーね…」
ヒラヒラと後ろ向きに手を振ってその場を去った。
さくらさんだけに違う表情を見せる彼。
私は、さくらさんを見守っている時にいつの間にか、彼を目で追っていたのだ。
本当は、私もさくらさんみたく接してほしかったのかもしれない。
正直、彼が発したストレートな言葉を聞いた時は辛かったけど。
何かがひっかかる。
でも、さっき改めてわかった。
私は彼がただ好きなんじゃなくて、さくらさんが好きな彼だからきっと好きになったんだ。
だって、本来なら、私と似ている彼を好きになる事なんて絶対ないのだから。
「ふふっやっぱり…さくらさんには敵わないや」
そして彼の相手がさくらさんで、本当に良かった。
色んな事があったのにもかかわらず、屋上から戻る私はなぜか、足取りが軽く、すがすがしい気分で戻った。
だってチョコを手渡した瞬間に私は、恋に終止符をうつ事ができたのだから。
「チョコさくらさんも、食べてくれるかな?」
END
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