26.04.16 Tue
双子と大学近辺にあるガストに寄って、腹を満たしたり、ダラダラしたり、一服した後、夜間帯も利用できるグラウンドで遊んできた。ライトアップされたグラウンドでフットサルの真似事して、疲れたらだべる。ひたすらその繰り返しだけど、3人でそうしてる時間が俺のお気にいり。
××駅で2人と別れて、JRと徒歩で帰宅し、今は丁度シャワーから上がったところ。汗かいたから超サッパリした。それで、シャワー上がりは炭酸が飲みたくなるんだよね。
鼻歌混じりに冷蔵庫に向かうと、キッチンの暗い照明に溶けこむように、影が立っていた。
「イト。」
キッチンカウンターに置かれたグラス一杯の水を見つめていた伊兎は、視線を俺に移した。正確に言うと、俺の鎖骨のあたりに。
「アオ。今晩も遊んできたの?」
いつもとは違う雰囲気を何となく感じ取る。毎晩夜10時にはベッドに向かう伊兎がこんな時間にまだ起きているからなのか、眼鏡の奥に濃いクマが確認できるからか、洗濯機に3日分くらい洗濯物が溜まっていたからか。
「まあ、そんな感じ。......それより、どうしたの?爺さんみたいに早寝早起きのくせに」
時計が無いから分からないけど、もう0時はとっくに過ぎているだろう。
「ただ、ちょっと眠れなくて」
伊兎は何気ない感じで、眠そうに目をこすった。
核心を突く質問をしてみる。
「お前、この前からちょっと変だよ。何かあった?」
伊兎は驚いたような顔をする。
「何で?別に、何もないよ」
「マジで?嘘ついてない?」
「ほんとだよ。何でアオに嘘つかなきゃならないの?」
「......じゃあ、何でさっきから目合わせてくれないの?」
口を噤んだ。静寂。テーブルに置いてある俺のiPhoneのライン着信音が聞こえた。誰からだろう?伽菜かな?倶嗣?それとも滋?
思考を飛ばしていると、伊兎が俺の目を見ていた。
「ほら、アオのことちゃんと見てるよ」
伊兎の瞳は、確かに俺を捉えているけれど、不確かで不安定にぎこちなく揺れていた。
「分かった分かった。見てますって感じで見てくるのやめてくれない?」
俺は悪戯っ子がやるみたいに、伊兎がパジャマ代わりに着ているトレーナーのフードをパサっと被らせる。俺からその目を見えないように、その目に何も映らないように。
それから冷蔵庫を開けて、ペットボトルを取り出して口に含む。しゅわしゅわの液体が喉を流れ落ちる。
「ごめん、アオ」
「謝らなくてもいいけど。じゃあ、明日は洗濯物洗っといてもらっていい?たまってたよ。俺はゴミ出すし、スーパーに買い出ししてくるから」
「分かった、忘れずやるよ。おやすみ、アオ」
「おやすみー」
目深にフードを被った怪しい伊兎は、そのままグラスに口を付ける。それを見てから、その場を離れた。
ーー今度はぐっすり眠れるといいけど。
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