暗チ所属だった女の子。ジョルノがやばい。
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ああ、油断した。
何が起きたのか身体が理解するまでに数秒かかった。その後欠けた左手の薬指からブシュッと嫌な音を立て血が噴き出す。痛い、痛い、痛い!だけど涙は流さない。リーダーがどんなに酷い怪我をしても泣くな、泣いたら殺すって耳にタコができるくらい繰り返した言葉を彼が亡き今も律儀に守っているから泣かない。でもどうしてくれるのよ、これ。私結婚指輪はめられなくなっちゃったじゃない。と噴水のようにビュービュー流れる血を新しいボスに見せつけるように彼の目の前で手をヒラヒラさせる。
「いつ足洗うなんて言った?ジャッポーネ式でオトシマエって訳?」
「パッショーネ抜けるなんて許しませんよ」
「そんな事言ってないってば」
真っ赤に染まった手を突き出して早く治すよう催促するが、この金髪コロネは「何ですか?」と微笑むだけでスタンドを出す気配を見せない。なんだこいつ、お前の秘書(暗殺チーム所属からのランクアップ)が上司に指切り落とされて血ぃダラダラさせてるのに微笑むだけか?過酷な任務で頭ぶっ飛んでるのかもしれない。病院に行く事を進める。って今病院が必要なのは私の方じゃあないか。
「なんで私の指切り落としたの。結婚指輪はめられなくなっちゃったんだけど」
「おや、中々賢いですね。ナマエに結婚指輪をはめさせない為ですよ」
「はぁぁ!?」
私に一生独身を貫けと言うのかこの男は。それとも婚期を迎える前に死ねというのか。出血多量でクラクラする頭に手を当てて大きなため息を吐く。とりあえず治療だ治療、と私はスタンドを出した。流れを操る能力で出血を止め、ついでに零れそうな涙も引っ込めさせる。もう一度大きなため息を吐き、キッとジョルノを睨んだ。訳が分からない、とにかく私の薬指を返せと文句を言う為に口を開こうとしたが、それはジョルノの唇によって塞がれてしまった。
「他の男と結婚する事は許しません。僕と結婚すると誓ってくれたら薬指は返しますし結婚指輪もはめさせてあげます」
良い条件でしょう?と妖艶に微笑むジョルノに腹が立ち、思い切り右手を振りかざしてビンタしてやった。スパーンと小気味よい音を立ててジョルノの頬を打ち抜いた右手はしかし彼の手に捕まえられ、ぺろりと指先を舐められた。ぞわわ、と、背筋に悪寒が走る。なんだこいつ、頭おかしいのか。
ここに居たらまずいと私の頭の中でカンカン非常警報が鳴り響く。早い所逃げよう、と足を踏み出そうとしたが動かない。「え!?」足元を見ると木の根がしっかり絡みついていた。ゴールド・エクスペリエンス。いつの間に。
「僕から逃げ出すつもりですか?脚の健を切って歩けなくして僕の部屋に閉じ込めてあげましょうか?」
「ごめんなさい許して下さい」
止めていたはずの涙が溢れ出す。指の血も幾らか勢いは落ち着いて再び流れ出した。ごめんなさいリーダー、ナマエは泣いてしまいました。だから殺して下さいと心の中で願うが我らが頼もしいリーダーはお空の上だ。
「で、どうするんですか?僕と結婚するんですかしないんですか」
「結婚します…」
よく出来ました、と頭を撫でられたが全然嬉しくない。こんなの脅迫じゃあないか。こうなったらデロデロに依存させていたぶって殺してやる。眼で殺せないかなと考えながら睨みつけてやると、「その視線良いですね、ゾクゾクします」と喜ばれた。解せぬ。
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