小さく丸まった背中を抱き締めて泣きじゃくる子供をあやすように、聞き分けのない子供を諭すように一句一句強調して呟く。私の言葉を拒絶するように燐は首を振り違う、と消え入りそうな声が辛うじて聞き取れた。そうじゃない。燐は悪魔でも、悪魔じゃない。そう紡ぐと意味分かんねえなんて言ってまた俯いた。
違うのに。私が言ってるのは奥村燐という人格が悪魔ではないということなのに。
燐が青焔魔の血筋を引き継いでいても、その本質は悪魔と似つかわしくなんてない。
真っ直ぐで素直でそれでいて莫迦で。自分に正直に生きていて、自分に無頓着で己が傷付こうが他者ばかり守ろうとして。
莫迦だね。
燐が悪魔なら世界中の人間が悪魔だって言うのに。
抱き締める腕に力を込める。燐は相変わらず俯いていた。ねえ燐、顔上げて。燐が俯いてるなんて似合わないんだから。顔上げて、閉じた目蓋も開いて、こっち向いて、蒼碧の眸を見せてよ。
青焔魔の焔の色、なんて言う輩もいるけどその色はとても綺麗なんだよ。
Does God smile?
(この汚れた世界で誰に微笑むの)
'13.3.16