新選組が好きな審神者その2

「キャアアアア!!!長曽根虎徹ぅぅうう!!」
「な、何だ、どうした」

本丸に着くなり目の前で叫び出す女が一人。長曽根をここまで連れてきた刀剣たちは検非違使によって負傷しており、さっさと手入れ部屋に行ってしまった。

「あ、お久し振りです」
「よぉ」
「おお、堀川国広に和泉守兼定か」
「俺らもいるんだけどー?」
「加州清光に大和守安定も!元気だったか」

懐かしい面々との再会に喜んだのも束の間。再び先ほどの女が叫びだした。

「長曽根虎徹!長曽根虎徹がついに来た!長曽根虎徹!長曽根虎徹!近藤勇の長曽根虎徹!」

歌でも歌いだしたのか、というほど興奮している審神者を目の前に隊長の心得がわかっている長曽根も少し後ずさり気味に堀川のほうへ顔を寄せた。

「あれが、その…審神者とやらか?」
「そうです。主さんは新選組が好きみたいで。兼さんのときもすごかったんですよ…」
「なるほどな…」

見ていなくとも察しがついた長曽根は堀川と共に遠い目をした。

「長曽根!会いたかったよ!やっぱり局長の刀だっただけあるよね!そんな感じ!頼りになりそう!」
「ああ、ぜひ頼ってくれ。これからよろしくな」
「わーい!ありがとう長曽根!たぶん超頼るから!ちなみに口の中に拳は入る?」


「長曽根兄ちゃーん!」
「おっとすまない、弟が呼んでいるようだ」

長曽根は弟に呼ばれたのをいいことにその場を立ち去った。




(2019/10/27/BACK)