妖精と宜野座

「こんにちは、私は妖精」

宜野座の前には15センチほどの可愛らしい少女がいた。

「妖精、だと?」
「あなたは童貞のまま30歳を迎えたでしょ?だから妖精が見えるようになったのよ」
「そこは普通、俺が妖精になるんじゃないのか?」
「人間たちはそう言っているわね。でもこれが真実よ」
「そうだったのか…しかし、妖精が見えるようになるなど誰にも聞いたことはないぞ」
「だってあなたの周りに童貞はいなかったもの。みんな経験済みなのよ」
「………」
「落ち込まないで」
「縢や雛河も、か?」
「そうよ」
「…そうか。まぁ、別にいいさ…家庭を持つ気は元から無かったし、遊びで女性と付き合う気もなかったしな…ははっ」







その頃の分析室では志恩がキーボードで妖精を操作していた。そしてそれを楽しげに見つめる執行官がまた一人。

「ギノさんうける。志恩さんもっとやって!」
「何か恨みでもあるの?」
「ギノさんが監視官だったころの鬱憤が溜まってるの」
「…御愁傷様」



(2019/10/27/BACK)