息子の鶴丸

「鶴ー、今日はバイトだから夕飯いらないんだよね?」
「ああ。あと明日もバイトになった」
「そうなのー?じゃあ今週は週4ってこと?」
「先週変わってもらったからな。じゃあそろそろ行くよ」
「はーい。いってらっしゃーい」
「行ってきまーす」





「主が自分の母親ってどういう感じなんだい?」
「どうって言われてもなぁ。さすがに赤ん坊のころから育ててもらってると、母親にしか見れない」
「昔はあんなに好きだったのにね」
「当時はな。だが、あの腹の中に入ってたのが俺の子ではなく、俺自身となればそんな感情無くなるさ。大事な家族、母親ってとこだ」
「それもそうか…ねえ、今度会いに行ってもいい?」
「俺は良いぜ。あ、ただなぁ光坊…あの当時の二十代の姿で想像するなよ?息子が大学生になる程度には年取ってるからな」
「はいはい」
「あと間違っても口説くなよ?俺の母親ってことを忘れるな?」
「もちろん」




(2019/10/27/BACK)