*平行世界のヒロイン
あの横顔が好きだった、なんて今になって思う。正面からなんて綺麗すぎてまじまじと見れないけれど、横顔ならもう少しちゃんと見ていられた。でも、あんまりじっと見ていると気配に気づかれてふふ、って笑われてしまうのだ。そして何でもないですって言いながらも、楽し気に笑うその横顔はやっぱりすごく綺麗で。もう一度会いたい、なんて思ってしまったのだ。
麦畑の先でうつ伏せに倒れる彼の横顔は記憶と同じく、綺麗で美しくて―――現実味が無い。
「私は二度も槙島さんを失うんですね」
それともこれも、また別の世界の話なのだろうか。