狡噛さんに会せてあげよっか

*槙島さんの幼なじみが監視官



「ねー、狡噛さんに会わせてあげよっか。ほら、私監視官だし。係違うけど適当に連れ出せば何とかなるでしょ」
「君の助けはいらない」

幼なじみが最近やたらと狡噛狡噛うるさいので言ってみれば彼はその美しい顔を変えることなく即答した。

「遠慮しないでよ。会いたいんでしょ?話したいんでしょ?」

真っ白なせいでひねくれたコイツがあれほどまでに興味を持つ人間は相当珍しい。二人が会っているところは私もぜひ見たい。ま、危ない気しかしないけど。しかし彼は外では絶対にみせない顰めっ面で私を睨んだ。

「遠慮はしていない。それに、君には分からないと思うけどどうやって狡噛に会うかというプロセスも大事なのであって、」
「そうだなぁ、一緒にカラオケ行ってくれたら会わせてあげても良いよー」
「絶対行かないから出ていってくれ」
「出ていかないよ〜〜〜ん。ふふふふふ」
「…君は意外としつこいな」
「聖護は意外と優しいよね」
「……」

私のことを煙たそ〜に、面倒臭そ〜にするのにかれこれ20年近く何だかんだ仲良くしてくれるのだ、優しい以外の何だというのか。

「そういうとこ好きだぞ」
「はぁ〜…わかった、僕が出ていく」
「ごめんごめんごめんんんんんんんごめんってばあああ行かないでえええええ」 
「掴むな!服が伸びる!」


今日も私たち二人はめちゃめちゃ平和。





(2019/10/27/BACK)