※事後
体温を分けたシーツが素肌に心地良い。寝返りを打とうと身体に力を入れ、次いで背後の寝息に気付き苦笑した。ジョセフが抱き枕よろしくわたしをしっかり抱き締めているのだ。広い胸板が背に密着し、彼の体温を直接感じる。身体をすっぽりとおおわれていて、腕から抜けようと試してみたがびくともしない。寝ている時ですらジョセフに敵う事はないのだ。仕方なく脱力して枕に頭を戻す。
壁時計は午前六時を指していた。二度寝するにも目が冴えてしまったので、秒針が時を進める音を聞きながら頭のなかで今日のスケジュールを組み立てる。朝八時にフロント集合。まずはホテルの朝食だ。と、その前に昨夜の汗を流したい。シャワーを浴びよう。そうすると、そろそろ起きなければ支度が間に合わない。
「……ジョセフさん」
「んー……」
「起きてください、ジョセフさん」
腹に回る手をぺちぺちと叩いたが反応はない。この様子では、覚醒はまだ先のようだ。手持ち無沙汰になり、仕方なく指先で指先を弄び始める。引っ張ったり握ったりした後、甲を包むように絡めてみた。この指が、昨夜優しく愛してくれた。指先をなぞってゆくうち、あの感覚を思い出して下腹部がきゅんと疼いた。こんなに愛し愛されて、それでもまだ足りぬ、まだ寄越せとこの身体は疼くのだ。こんな事、ジョセフが知ったらどう思うだろう。
「ジョセフさん……」
未だ身体を抱き締める、緩まぬ抱擁に愛おしさを感じ目頭が熱くなった。こぼれた涙がこめかみを辿り枕を濡らす。
「……」
声を殺して、気取られないように。寝ているとわかっていても知られたくなかった。わたしが泣いていると知ったなら、ジョセフはきっと大きな手のひらで頭を撫で、優しくこう言う。
「いい子じゃ、名前」
彼に比べればずっと歳若いわたしだけれど、こんな愛おしい気持ちは人生でこれきりのような気がした。
20151216
20170819修正加筆