好きな人は倒すべき敵でした それでも 愛し合っている彼と私。 けれど決して結ばれない彼と私。 なぜなら私は彼――ハオと敵対する組織、X-LAWSの一員だから。 「……ハオ、好き」 私が小さく呟くと、それに答えるようにして私を抱き締めるハオの腕に力が入った。 私も彼の背中に腕を回し、精一杯の力を込めて抱き締める。 それだけで涙が出そうなほど愛しくて、たまらなく切ない。 その温もりを感じるだけでこんなにも胸が苦しくなる。 ハオは私のすべて。 ――だから、 「ハオ……ごめんなさい」 瞬間、私は毒を塗った剣をハオの首筋めがけて振り上げた―― 「権兵衛、あなたがハオと親しい仲であることは本当ですか?」 そう問うのは、X-LAWSの主軸であるアイアンメイデン・ジャンヌ様。 彼女から直々に話があるようだと仲間から言付けを受けたのはつい昨日のこと。 急いで彼女の部屋へ向かった私だったが、話の内容を聞いて愕然とした。 「……何を、仰っているのですか?」 「質問に答えなさい、権兵衛」 動揺を隠せない私に冷たく言い放った彼女の、揺るぎない瞳の気迫に一瞬たじろいだ。 言い逃れはできない。 見た目は幼い少女の姿をしているが、相手はX-LAWSを束ねるアイアンメイデン・ジャンヌなのだから。 「……申し訳ありません」 深々と頭を下げ、彼とのことを彼女に話した。 本来なら彼と交わることなんてないはずだった。 けれど愛してしまった。 愛されてしまった。 私はX-LAWSなのに―― 「……そうですか。 では権兵衛、これを」 すべてを話し終えた私に彼女は一本の剣を託し、私は何事もなく帰された。 恐らくこれでハオを殺せということだろう。 X-LAWSの勲章に手を当て、じっと考えた。 この白装束に初めて身を包んだ日のことが思い出される。 決着をつけなければ。 この勲章に恥じないように。 ごめんなさい、ハオ―― 「ッ、権兵衛!?」 ハオが気づくより早く、私は腕を降り下ろす。 剣の切っ先が捕らえたのは―― 「……ハオ……なん、で……」 滴り落ちる彼の赤。 私の白を染めていく。 どうして? どうして? 赤く染まるのは私だけのはずだった。 私が剣を降り下ろした先は、ハオの首筋の先にある私自身の喉元。 それなのに、なぜ? 剣を止めた彼の手はどうしてこんなにも赤いの? 「あいつらに、バレた……ってところ、かな?」 そう言って彼はいつもの笑顔を見せた。 キン……と小さい金属音と共に、ハオの手から剣が床に落ちる。 「……本気で、僕を、殺す気かと、思ったよ…………心を、隠すの……上手くなったじゃ、ないか……」 「ハオを殺せるわけないじゃない! ハオを殺さなきゃいけないくらいなら私が死のうと思って……なんで止めたの、バカ!!」 涙が止まらない。 頭が上手く働いていないようだ。 私はハオの手のひらを握り、ありったけの巫力を注ぎ込んだ。 しかし私のちっぽけな力では彼の傷を治すことはできそうにない。 「ははっ、情けないな……権兵衛のことになると、考えるより、先に……止めに、入っちゃうんだ…………未来王ともあろう、この僕がさ」 「しゃべらないで、ハオ!! 死んじゃうっ……」 剣の毒が回っているのか、だんだんとハオの息が荒くなっていく。 流れ落ちる血は止まらない。 整ったハオの顔が痛みと苦しみに歪む。 「ハオ……ごめんなさいっ……」 ハオを失う恐怖で身も心も埋め尽くされる。 そんな私を安心させるかのように、ハオは無理に微笑んでこう言った。 「じゃあさ……最後に、ひとつだけ……聞いてもらっても、いいかい?」 「……な、に?」 ハオがそっと涙をぬぐってくれた。 毒が回って体が思うように動かなくなってきているはずなのに。 「僕と……結婚しよう。 X-LAWSじゃない、権兵衛の、居場所……作りたいんだ」 答えなんて決まっていた。 出会ったときから、私の魂はハオのもとにあったのだから。 「――はい、喜んで。 ありがとう、ハオ……」 そして、本当にごめんなさい。 ハオとの最期のときが辛くて、彼の手をぎゅっと握りしめながら瞳を閉じた―― 「よし、じゃあ今からあいつらに報告に行こうか」 ――え? ぱっと顔を上げると、そこには満面の笑みを浮かべたハオの姿があった。 握りしめていた手を開くと、彼の手には傷ひとつ見当たらない。 「……どういうこと?」 「どういうことって……巫力で治癒しただけだよ」 「毒は大丈夫なの?」 「……あれくらいで死んでるならとっくに僕はこの世にいないよ」 「でもほんとに苦しそうだったから……」 「なかなかの演技だったろ?」 ニヤッと口角をあげてハオがそう言った瞬間、私は全身の力が抜けてハオにもたれ掛かった。 「よかったあ……」 「僕は未来王だからね。 でも権兵衛がずっと心を隠していたから少し危なかったかな」 「ごめんね、ハオ……」 しゅんとした私の頭をハオがぽんぽんと撫でてくれた。 それが嬉しくて、彼の背中にきゅっと腕を絡ませる。 ハオも優しく私を抱きしめた。 「気にしなくていいよ。 僕を殺すくらいなら権兵衛は自分の死を選ぶだろうって思ってたからね」 「どうしてわかったの?」 「僕ならそうするからさ」 そう言ってハオは私の額に軽くキスを落とした。 顔を見合わせてふふっと笑い合うと、今度はお互いの気持ちを確かめ合うように何度も何度も深く唇を重ねた。 「メイデン様、これでよかったのですか? 権兵衛にハオを殺すことができるとは――」 「マルコ、世界で1番美しい正義の心が何か知っていますか?」 「……はい?」 「ふふ、マルコには少し難しかったかもしれませんね」 メイデンちゃんが言いたかったことは。。 愛、ですかね(*^^*) それにしてもまとまりのない。。 そのうち手直しするかもしれないです。 それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました*゜ 2013/01/24 ちろこ |