痛い。



目が覚めたらまた自分の部屋に戻っているはずと目を開けるがまた違う場所にいるのがわかる。
背中がひりひりと痛む。
それに今度はベッドの上にいる。知らない場所だ。



体を起こし辺りを見渡す。
夢ではない現実なんだと再確認するがそれなら倒れる前に見た爆豪くんは私の見間違え?
考えることが多い。






「!!だ、大丈夫?」









扉が開かれたと思えば見知らぬ男の人が。
また何かされるのではと身構え距離をとろうとする。









「そんなに驚かないで。僕達は君に危害を加えない。君の味方だよ」
「味方…?」








「わっ、爆豪落ち着けって…!」
「邪魔だどけ!!」










ガラッと勢いよく開かける扉に驚く。









「!!爆豪くん……」
「……よぉ」








目線を逸らされるものの爆豪くんだとわかる。身長も伸びて大人びても私が知っている爆豪くんだ。







「っ、何泣いてんだよ…!」










ぽろぽろと零れる涙を抑えきれない。
安心して一気に気が緩んだんだろう。









「ごめんね」



「……」





「かっちゃんやっぱりさっきの話って…」
「黙ってろ。見ての通り俺とこいつは面識がある。
…それより話したのか」

「ううん、これからだよ」






涙を拭き終えて再び爆豪くん達に目を向けると開かれていた扉も閉められ男の人と爆豪くんが真剣な表情で見ている。
安堵して早々空気が変わり私も戸惑う。









「僕は緑谷出久。いきなり驚かせてごめんね。かっちゃんとは面識があるんだってね」
「は、はい」

「さっきは大変だったね。僕達が早く駆けつけることが出来たら怪我なんか…」
「いいんです、それより助けていただいてありがとうございます」







あそこで助けが入らなかったら死んでたかもしれないと思うとゾッとする。










「それではるさん。倒れる前の記憶はある?」
「あ、確かフードを被った男の人が…って、なんで名前」

「ごめんね。かっちゃんから色々聞かせてもらったんだ」


「……なんでアイツと会う経由に至った」
「そ、その」







まさか気づいたら寝て起きたら遭遇してただなんて信じてもらえない。
それに私もどうしてここにいるのかもわからないしなんて説明したらいいのかだなんて思いつくはずもなく黙り込んでしまう。








「……はる」




「は、はい」

「こいつらには俺とお前の出来事も伝えてある。…まあ、半信半疑かもしんねぇがな。
俺がいるんだ、言え。
“約束”忘れただなんて言わせねェぞ」







爆豪くんの口角があがる。
約束と言って思い出すのは「私が困ってたら助けて」そう果たせるはずもなかった約束だ。そんなことまだ覚えていたんだと思うと胸が熱くなる。それなら私は爆豪くんを信じて言うしかない。

息を整えて重く閉ざされた口を少しずつ伝えてゆく。

いつも通りに帰宅して起きたら寄りかかるように路地裏で寝ていたこと。
それから男の人に呼びかけられて首を絞められ連れ去られそうになった所を隙をついて逃げ出した途端、怪人のようなのに出会い叩きつけられ気絶したことを。今に至るまで。全てを話した。











「ッチ、あの野郎…!!」
「かっちゃん落ち着いて…!」
「あァ!?」

「それにはるさんとかっちゃんの起きたら別世界だったっていう手も気になるよ。何かあるのかそれとも誰かの個性が働いているのか…」

「ンなもん仮説でしか語れねェだろ」
「それはそうだけど…」

「それよりこいつの方が問題だ。あのクソ敵、ようやく姿見せたと思えばはると接触してやがる」
「うん。それもはるさんの個性を気に入って…って、はるさんの個性って一体?」

「わ、私はただの一般人です!」






爆豪くんと私とは住む世界が違うのだからあるはずがない。そう思い込むが。









「……デク。個性使ってみろ」
「へ」
「使えばわかる」
「!!使えない…」

「そうゆうことだ。俺も1度こいつの所に行った時も使えなくなった。
なんらかの条件があるはずだが俺には分からねぇ。そりゃ5本指触れられても消えないわけだ。
本人は意識も個性が使えている自覚もねぇがな」








よくわからないことに頭がついていかない。いつの間に個性だなんて私にあったのだろうか。でもそれよりこれからだ。これから私はどうしたらいいんだとぐるぐる考えが巡る。








「……はるさん」
「はい」

「死柄木のことだ。またいつ君を狙うかわからないしはるさんとかっちゃんの言う話も僕は嘘だとは思えない。1個の仮説としてはパラレルワールドだってあるわけだしね。

…それに寝ている間に戸籍も調べさせてもらったけどはるさんの戸籍はここには存在しなかった」


「…っ」






じゃあ、ここは本当に私がいた所じゃないってことなの…?









「……それで僕達からの提案ではるさんの身柄を確保させてほしい」


「か、くほ?」









「そうだね。ここからは僕が喋らせてもらうよ」







ガラッと再び開けられる扉に驚き入ってきた男の人に視線を向ける。聞くと警察官らしくフードの男…死柄木弔を追って数年と経つらしい。





「いきなり色々ですまないね。外で話は聞かせてもらっていたよ。
興味本位でも死柄木弔はまたいつ君と接触してくるのかもわからない。それに君は戸籍もない。そうすると家もない。
……そこでだ。
一人、プロヒーローの元で身柄を確保させてもらって万が一に備えるのが得策だと思ったんだ」









思わず戸惑いを隠せなくなる。不安な私を見兼ねてなのか爆豪くんが私の頭をぐしゃぐしゃに撫で回す。









「…ンなに、心配すんな」
「だ、だって…」
「大丈夫だよ。この件に関してははるさんと接点のあるかっちゃんに任せようと思ってるんだ」
「え」
「それにいきなり知らない僕達とよりだったら知っているかっちゃんのが安心だと思うしね」
「緑谷さん…」







「……それに、かっちゃんも自分のところでいいって言ってるしね」
「あ?!何勝手に言ってンだクソナード!!」







相変わらず爆豪くんはツンデレなんだなと思うと少し笑みが出そうになる。







「何かあれば僕達も協力させてもらうしね。それに僕達も死柄木弔に関しては有力な情報がほしい。怖い思いをさせてすまないが協力をお願いしたい」








ぺこりとお辞儀をする警察官さんはまたと言って名刺を渡して部屋をあとにする。気を張っていたのもあり一気に気が抜けてしまう。









「…立て」
「へ」





咄嗟に引き寄せられた手に体がよろけそうになるがなんとか立ち上がる。











「っわ、かっちゃん!そんな急にしたら!」
「ふふ、大丈夫ですよ緑谷さん。それに不思議と背中もあまり痛まなくなってきました。本当にありがとうございます」







お礼を言うと顔を赤らめる緑谷さん。あたふた姿も和んでしまう。
爆豪くんとまた少し一緒に居れるのだと思うと心強く思えた。近くにいる爆豪くんの顔が怖いのは触れないでおこう。












《決定》




「何かあれば僕も協力するしなんでも言ってね。これ僕の連絡先」
「あ、ありがとうございます」

「……」

「そ、それじゃあ僕は行くね(かっちゃん怒ってる…)」

「色々お世話になります(緑谷さん行かないでー!!)」