もしかして、と思うことは何度かあった。でもそれは自分が都合のいいように脳内変換をしているのかもしれないと、弱気にわからないフリを続けていた。
「ここにいたのか」
久しぶりの上陸でお酒を大量に持って帰ってきて宴がはじまる。いつものことだ。私は自分の隊の人と飲みかわしたあと、酔いをさますために一人甲板の物陰に隠れていた。
「よく、わかりましたね」
「なまえの考えることはなんとなく」
私だからわかるのだろうか。いや、彼ならきっと全員のことを把握しているだろう。私に会いたくてわざわざ探しにきてくれたのだろうか。いや、律儀な彼のことだから全員と一言二言くらい話してまわっているのだろう。
期待してはそれを否定する日々。
「なにかありましたか?」
「一緒に飲みたくてな」
あげた手を見ると瓶が二つ。栓は抜かれていた。差し出されたので一つを受けとる。
「これ、少し甘くてお気に入りなんですよ」
「見つける度に飲んでるもんなあ」
それは私のことをよく見ているってことだよね。でもサッチだって、かわいい妹のことは俺が一番知ってるんだって自慢げに話していた。マルコもきっとそう思っているだろう。私が特別なんじゃない。
「なんか、今日は酔いがはやいかも」
グヒグビと飲んでいるものの、今日はやたらと片想いをこじらせた思考がとまらない。
「……かわいいねい」
そっと私の頬に手を当てて、スリッと指を滑らせる。かわいいって妹としてだよ、そう言い聞かせても酔いがまわった頭はもう正常に働いてくれない。
なんでそんな愛おしそうに目を細めて私を覗き込むように見るの。なんでみんなから見えないように私を体で覆い隠してるの。なんでそんなこわれものを扱うように触れるの。
ごめんなさい酔った勢いです、そんな台詞を思いつく。マルコの手に自分の手を重ねて少し頭を預け顔を見る。眉間に皺が寄ってしまった。あーとかうーんとか唸る声が聞こえる。
「私の考えてること、わかるんですよね」
「……あぁ」
「私はわからないです」
「そうかい」
本当にわからない。特別だと思いたい。でもそうじゃない。勘違いさせる方が悪いのでは、最終的にそんなこと考えてしまう。お互いお酒の勢いに負けることもあるだろう。全部お酒のせいだ。
「じゃあ、私が今何を考えてるか、わかりますか?」
頬を滑らせていた指を自身の唇にもってきてなぞらせた。
「頼むから、あんま煽るな」
それだけ言うとマルコは私をきつく抱きしめ首筋に顔をうめ深く呼吸をした。その息づかいが直に感じてどうしようもないくらい好きだという感情が昂り彼の背中に手をまわしてきつくきつく抱き締め返した。