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「君を傷つける者がいるなら、私は迷わずそいつを殺すよ」




——それが、非術師であっても




 高専の裏庭にある花壇に水やりをする私に向かって、夏油くんはそんな言葉をかけた。
 普段温厚な彼が "殺す"と明確な悪意ある言葉を使い、しかもそれが彼が常に信条としていた弱者生存。つまり私たちが護るべき非術師に対して発せられただけに、数秒思考が止まる。どうしてそんな話になったんだっけ?


 もう戻れない数分前のことを無意味に考える自分の足元で、マリーゴールドやサルビアが知らん顔で揺れていた。


 いつもの夏油くんじゃないのは分かるのに、その冷ややかな心に触れることを彼は許してくれない気がして。いや正確には、「別に何でもないさ」とはぐらかす予感がしたのだ。
 だから私は努めて明るく「あはは……そんなのダメだよ」なんて冗談めかして返事をする。


 蝉の鳴き声。雲ひとつない真っ青な空。色濃く影をつくる眩しい陽光。シャワーヘッドから溢れ出す透明な水。じわりと肌にまとわりつく汗。少しだけ痛む額。全て思い出せるのに。



 あの時、夏油くんがどんな表情をしていたのか。
 それだけが思い出せない。





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