先日、いつもお世話になっているコックリさん達に、感謝の気持ちを込めて、料理を作ってあげたら、悲惨な結果になってしまった。見た目は完璧と褒めてくれたが、一番重要な味が、全くもって評価されず。もう一回作るぞ!と張り切っていた時、コックリさんに待ったをかけられた。



「え?なんでよ?」

「料理で死人がでるなんて、まっぴらごめんだ」

「死人?逆でしょ?美味しすぎて、天国だったのよ!」

「違げぇよ!地獄だったんだよ!」



そんな言い合いが数分続き、結局、次の日曜日にコックリさんと一緒に料理をする事になった。



*****



髪の毛を結んで、エプロンをつけるなまえ。テーブルの上を見ると、数々の食材が並べられていた。首を傾げながら、何を作るのか頭の中で考える。玉ねぎ、人参、その他色々。和食、洋食、中華。料理は幅広い。なまえは食材を見て、何かが閃いた。成程と言いながら、台所に立った



「今日の晩御飯は肉じゃがですね!!」

「おい、ブロッコリーを持ったまま、何をしている」

「肉じゃがを作ろうと思って」

「肉じゃがにブロッコリーなんて、聞いたことないぞ!」

「それが料理です!」

「やめろー!!」



身支度が出来たので、コックリさんも台所へと向かい、部屋に入ると、なまえが肉じゃがにブロッコリーという発言を聞いて、直ぐに猛スピードでなまえの手からブロッコリーを取り上げる。本人は何が悪いのかさっぱり解らないらしい。コックリさんの事など気にせずに、また違う食材に手をだそうとしているなまえを見て、いい加減にしろ!と怒鳴られた。怖い怖いと小さな声で愚痴を言いながら、改めてコックリさんと料理を作る事になった。



「コックリ先生。今日の晩御飯はなんでしょうか?」

「ハンバーグだ」

「おぉ!肉じゃがの中にハンバーグを入れるのですね!流石、コッ…」

「なまえ…。お前を食材にして、ハンバーグにしてやってもいいんだぞ…?」

「ハ…ハハッ…。……ごめんなさい…」



コックリさんの後ろから邪気のようなオーラが漂う。包丁を持ち、キラリと光る眼。なまえは一気に今、自分がどんな立場なのか理解する。いつもと違って、低い声での発言に、血の気が引いた。殺されると思い、素直に謝った。やれやれと飽きれた顔をしながら、コックリさんはハンバーグの主役の挽き肉を出し、その中に入れる玉ねぎをみじん切りにするようになまえに指示した。



「みじん切り…?」

「あぁ、出来るか?」

「うん、大丈夫」



玉ねぎの皮を向いて、みじん切りをしようと、慣れない手つきで、切れ目を入れて行く。隣で立っているコックリさんも、チラチラとなまえの様子を見ながら自分の仕事をする。ストンッと包丁の音に驚いた。慌ててなまえを見るも、怪我などはしていない。心臓に悪いと思いながら、なまえの後ろに立ち、自分の手をなまえの手に重ねて行く。



「わっ…!」

「驚いてないで、料理に集中しろ。ほら、左手は猫の手にするんだ。平らにしてると怪我するぞ?」

「は…はい…」

「右手はゆっくりと…そうだ。それでいい」



背中に伝わるコックリさんの体温。それだけじゃない。添えられている手も若干暖かく感じる。やりにくいと思いながらも、丁寧にゆっくりと玉ねぎを切っていった。そして、更に細かく切らなければいけない。急に刺激のある香りに、目がやられる。痛くても、切っていくが、時々手を止めて、涙を拭う。目が赤くなりながも、これでいい?とコックリさんに確認をとる。どうしてかは解らないが、どこか嬉しそうに、コックリさんは頷いた。なまえの背後から、隣へと移動する。



「よし!ここからが本番だ。なまえ、ヘマはするなよ」

「が、頑張ります…」



ここから先は全部なまえがやる事になった。コツを教えつつ、丁寧に慎重に料理を作っていく。時々、不器用な手つきをするも、慌てるなと優しい口調でアドバイスをしてくれるコックリさんが傍にいてくれたおかげで、何とか今日の晩御飯の主役、ハンバーグが完成した。一番最初に手にしていたブロッコリーは付け合わせとして使用した。



「狗神も信楽も、美味しいって言ってくれるかな…」

「大丈夫だ。自信を持ちなさい」

「そうだと…いいなぁ…」



出来上がったハンバーグを見て、不安な言葉をこぼすなまえ。前回の失敗が蘇る。コックリさんは辺りを見渡して、誰もいない事をいいことに、なまえが作ったハンバーグを試食し始めた。一口、二口…最終的には自分の分を全員で食べる前に食べて終えてしまった。



「ちょ、ちょっと…なにして…」

「美味かったから全部食べた。」

「ほ、ほんとに?」

「これこそ、正に天国…っていうやつだな」



なまえの頭を撫でて、よく出来ましたと子ども扱いする。不安を解消する為に、美味かったと何度も連呼した。ほっとしたなまえ。ありがとうと微笑む。そして、狗神達にも食べてもらおうと、なまえとコックリさんは、みんなが集まる部屋へと、持って行った。



狗神も信楽も美味しいと絶賛してくれた。二人が夢中で食べている中、なまえとコックリさんは軽く見つめ合い、一緒に笑った。もう、これを気に料理下手なんて言わせないと心に誓うなまえだった。


fin


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繰繰れ!アンケートでネタを提供してくれた匿名の方、ありがとうございました!


その他

内容

「料理下手な夢主がコックリさんに料理を習うほのぼの話」



ほのぼのしてなくて、ごめんなさい…。





miel