朝、いつもの時間に起きて学校に行く準備をしているとズキズキと頭が痛かった。昨日、夜更かししていたのが原因だろうと特に気にする事もなく制服に着替えていた。だが、時々、目の前が歪む。なんだろう?と顔に手をあてると少し、熱があるような、ないような。それとも自分の手が暖かいだけのかも知れないと、なまえは原因は全部昨日のせいだと勝手に決めて、朝食を食べようと台所へ行く
「おはよう、コックリさん」
「おはよう、なまえ。丁度、朝飯が出来た所だ。ん?リボン、曲がってるぞ?」
「え?あ、ほんとだ…」
「ほら、こっちに来い。直してやるから」
朝食を食べる前に、なまえのリボンを直す。ぼーっとしているなまえに気づき、大丈夫か?と声をかけると、うんと頷く。いつも元気ななまえが今日に限って、元気がない。寝不足だろうと、多少気にしつつ、狗神達の朝食を準備する。椅子に座って、いただきますと箸を持って朝食を食べる。ご飯に味噌汁、卵焼き…口に入れて食べるも、いつも美味しいと思いながら食べているのに、今日はあまり美味しくない。なまえは箸をおいて、食べるのを止めてしまった
「ごちそうさま…。学校、行ってくるね」
「あ、おい…まだ残ってるぞ?なまえ?」
コックリさんの言葉など耳に入らず、鞄を持って玄関まで行き靴を穿く。立ち上がり、外へ出ようとした瞬間、眩暈が襲った。ぐにゃりとした目の前の光景になまえはフッと目を閉じて、その場に倒れ込んでしまった。
「なまえ、体操着忘れてる…っておい!なまえ!?大丈夫か!?」
倒れてしたなまえに気づいて、咄嗟に身体を起こす。制服からも伝わる身体の熱さ。うっすらと額から出ている汗。コックリさんはなまえの頬に手をあてると、熱を帯びている。異常な熱さに慌てるも、落ち着けと冷静に判断をする。胸元のリボンを外して、呼吸が少しでも楽になるようにし、なまえを抱き上げて、部屋に向かった。布団の上に寝かせて、やましい気持ちなど、一切なく、なまえを寝巻に着替えさせる。急いで、氷嚢と氷枕を用意する為に、また台所へと戻っていった。
・・・・・
冷たい。頭の中がひんやりする。中も外も。でも、どこか気持ちがいい。肌から伝わってくる氷のような冷たさ。まだ、私は夢の中にいるのかと、なまえは目を覚ました。見たことのある天上、顔を横にやると、心配そうになまえを見つめているコックリさんの顔が目に入った
「コ…ックリ…さ…ん…?」
「大丈夫か?なまえ…。まったく、風邪をひいてるなんて知らなかったぞ」
「か…ぜ…?」
「あぁ、さっき医者に来てもらったんだ。熱もあったし、風邪だって言ってた。今は季節の変わり目だから、身体がそれに追いつけなかったんだろうって。玄関で倒れてたから、何事かと思った…心臓が止まりそうだったぞ」
「ごめん…なさい…」
説教をした訳でもないのに、なまえに謝られてしまった。複雑な気持ちになる。今の言葉使いは自分も悪かったとコックリさんも、ごめんと謝る。何か食べるか?と聞くも、首を左右にふり、断られた。首元を触る。まだ熱は引かない。もっと早く気づいていれば、なまえが倒れる心配などなかった。いつも一緒にいるのに、こんな小さな事に気づいてあげられない自分は、恋人としても失格だと自分を責めた。
「コックリ…さん」
「どうした?何かしてほしい事とか、あるなら言えよ?」
「手…手を…」
「手がどうした…?なまえ…?」
差し出されたなまえの手を握るコックリさん。なまえは、嬉しいと一言だけ伝えて、眠りに入った。あぁ、そういう意味かとコックリさんは、片手で握っていた手を両手で握り、口元にもっていき、寝ているなまえに悪いが、指先にそっとキスをした。
「なまえ…」
顔を覗きこむも、深い眠りにはいっている為、コックリさんの気配には全然気づかないなまえ。病人に、こんな事をしても良い事はないと思うが、コックリさんは桜色に染まっている唇に自分の唇を優しく重ねた。唇からも熱が伝わってくる。そっと離して、寝ているなまえに、言葉をかけた
「早く治ってくれ…愛しい、なまえ…」
コックリさんは、なまえの風邪が治るまで、毎日部屋を訪れて、看病した。そして、風邪をひいてから五日後、無事に完治したなまえ。いつもと変わらない日常が元に戻った。行ってきます!と笑顔で挨拶をし、走って学校に向かう。やっぱり、元気な姿が一番似合うなと、独り言を零した。食器を洗いながら、今晩の晩御飯はなまえが好きな物を作ってあげようと、帰宅してくるのを楽しみにしているコックリさんであった。
fin
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繰繰れ!アンケートでネタを提供してくれた獅音様、ありがとうございました!
コックリさんで甘々
「熱を出した夢主を看病するコックリさんの話」