12月と言えば、クリスマスイブ。町はイルミネーションに包まれ、お店はケーキが大売出しの日。後は友達とプレゼント交換など、様々なイベントがやる日。それと同時に楽しみにしているのは雪だ。クリスマスに雪という発想は誰が考えたのだろう。毎年、毎年、思うが降った試しがない。それでも何処か、期待をしてしまう。
「クリスマスか…。私には関係ないけど」
冷たい風が吹く中、ベランダに突っ立って、空を見上げながら独り言を言うなまえ。この年になって今更サンタさんにお願いなんてしない。寧ろ、逆にサンタって何?と聞いてしまう。子供の頃にあった、あのピュアな心はもう消えてしまった。寝る前にワクワクしながら布団の中に入り、起きて枕元には自分が欲しいプレゼントが置かれている。それが、今では何もない。友達から遊ぼうとメールの誘いがあったが断った。ギャーギャー騒いで、楽しいと思う時間はあっという間に過ぎてしまう。なまえは馬鹿みたいと、また独り言を呟きながら、部屋の中へと戻った
「う〜、寒かった。何か温かい飲み物でも入れてこようっと」
ブルブルと携帯のバイブ音が鳴る。誘いを断ったのに、着信が入った。しつこいと思いながらベッドへと抛り投げて、台所へと向かい、お湯を沸かして、昨日買ってきたココアの粉末を、お気に入りのマグカップに入れて、その中に熱湯を注ぎ込む。スプーンでかき混ぜながら、再度、自分の部屋へ戻ろうとすると、何処からか鼾の声がした。
「信楽…?」
その部屋へ入ると、思った通りだ。うるさい声で鼾をかいて寝ている信楽の姿。こんな所で寝て、布団もかかっていない。呆れながらなまえは丸いテーブルの上にマグカップを置いて、違う部屋から布団を取り出して、信楽にかけた。すると、それに気づいたのか、んな?と変な声を出しながら目を覚ます信楽。ぼけらっとした顔で、なまえをじっと見る。寝ぼけているなとなまえは布団から手を離して、信楽の傍を離れようとしたら、腕を掴まれて、そのまま引っ張られてしまい、信楽の上に覆いかぶさってしまった
「うわっ!いっ…たっ…。ちょ、ちょっと、信楽!」
「良い布団だなぁ〜。嬢ちゃん布団」
「なっ!?離して!私は布団なんかじゃないわよ!」
「ん〜?じゃ、おじさんが布団になってやるよ」
「え?きゃっ!?っ…!」
いきなり信楽が起き上がり、今度は信楽がなまえに覆いかぶさってきた。急に信楽の顔が近づいてきて、眼をぎゅっと閉じてしまうなまえ。何かセクハラされると覚悟していたが何も起こらなかった。そっと目を開けると、騙されたなと笑っている信楽。自分の勘違いだったという事に顔が赤面する。恥ずかしくなったなまえは、そっぽを向いた。早くここから出たいと、信楽がどけてくれるまで待っていると、上から箱の様な物が落ちてきた
「んっ…何…これ…?」
「あっ…。バレちまった…。何でここで落ちんだよ」
「信楽?」
「まぁ、その…隠しても仕方ねぇしな。嬢ちゃん、ちょいと左手を貸してくれねぇか?」
「これで…いいの…?」
胸元に落ちた箱を信楽はなまえの頭の上に置き、ゴソゴソと音をたてながら、何やら出している。頭上の音に何だろうと思っていると、差し出した左手の薬指を何度も触れる信楽。親指と人差し指で、こすりながら丁寧に触っていると、右手に銀色のリングを持っていた。その指輪を目で追うと、自分の左の薬指に嵌められた。
「う…そ…。ゆび…わ…?え?どうして…?」
「なまえ、今日が何の日か知ってるか?」
「今日…は…クリスマス…」
「そうだな。おじさんから、なまえにクリスマスプレゼントだ。給料三か月分と言いたい所だが、おじさん、そんな大金持ってねぇし。安物だけどよ、受け取ってくれるかい?」
「い、いいの…?私、何もプレゼント…信楽に用意してない…。だから、これ…」
「何言ってんだ?嬢ちゃん。おじさん、嬢ちゃんから、もうとっくにプレゼント貰ってるぜ?」
「信楽…?っ…」
左手を信楽に握られたまま、キスをされる。信楽の舌が入ってきた。少しだけ、なまえの舌っと自分の舌を絡ませ、直ぐに離れた。そして、なまえを抱き締める。信楽の吐息が耳元に吹かれて、身体が震えた。先程の答えが囁きかれる
「なまえ自身が、プレゼントになってんだよ」
「わ、私が…?プレゼント…?」
「おじさんは、なまえがおじさんの傍にいてくれれば、何もいらねぇよ。だから…」
「ふわぁ!?こ、今度は…なに?」
「嬢ちゃんという名のケーキを、今日はいっぱい食べさせてくれよな?」
軽々となまえを、お姫様抱っこをし、頬にキスをした信楽。暴れるなまえをほっときながら、部屋へと向かった。そこから先の話は二人だけにしか解らない物語。
fin