「狐〜おじさんとデー…ぶごぉ!?」

「しつけぇよ!クソ狸!!」



どうしてこうなったかは理解が出来ないが、コックリさんが女体化になって3日目になる。朝から晩まで、信楽はコックリさんを追いかけ回し、そして手や足で蹴られる始末。それでもめげずに鼻血を垂らしながら、信楽は何かと言いながら女体化したコックリさんを振り向かせようとしている。正直、つまらない。なまえは信楽の女癖を目の前にして、ため息をついた。その場を後にして、自分の部屋に向かい、スレンダーな身体を鏡に映す



「やっぱり、胸なのかなぁ…。女体化したコックリさんの身体は、私から見ても羨ましいって思うし。家事も出来て、その上、あの魅力的なボディ。それに比べて、私の身体は…」



自分の胸を服の上から触るなまえ。Bカップしかない小さな胸に、又もや重いため息をついてしまった。あの身体になれたら、どんなに嬉しい事だろう。きっと信楽も自分に振り向いてくれるはず。コックリさんを女として見ているって言えば、そうなる。自分に対して、信楽は子供扱いされている。彼の視線の先は、いつもコックリさんの巨乳がロックオンされている。それが嫌で、なんとか自分に興味を持ってもらおうと、話の話題を変えたり、一緒に買い物に行こうと試行錯誤するも、信楽の二言目は、狐も一緒に、だ。



「信楽と付き合ってるのは私なのに…どうして見てくれないの…?」



駄目。考えては駄目。コックリさんは何も悪くない。好きで女体化になった訳でもないのだから。でも逆に言えばズルい。女性が憧れる存在になっているのだ。きっと今も信楽は、楽しそうにコックリさんを付け回しているだろう。もう3日も耐えている。我慢の限界もきているなまえ。



「おーい。嬢ちゃん、おじさんと一緒に…」

「コックリさんと一緒にいけば?」

「…。嬢ちゃん…?」

「私と一緒より、コックリさんと一緒にいる方が良いんでしょ!私なんかより、コックリさんの方が美人だし、体型も綺麗だし、信楽はコックリさんが良いんだ!私と居る時より、楽しそう…だ、もん…」

「なまえ?なに、怒って…」



ドアが叩く音と信楽の声になまえは信楽が入ってこないように、ドアを真正面から手で押さえつけて、我慢していた言葉をドア越しに言葉をぶつけた。悔しい。悔しい。違うのに、こんな事を信楽に伝えたいんじゃない。なまえは力が抜けたように、その場に座り込んでしまった。突然のなまえの言葉に驚いていた信楽は、原因を確かめるべく、ドアノブに手をかけて、ゆっくりと覗き込むようにしてなまえの部屋へと入った。



「っ…なに、勝手に入ってきて…」

「嬢ちゃん…狐に嫉妬でもしてんのか?」

「なっ…離して!そん…なん、じゃ…」

「だったら、何で泣いてんだよ…」

「そ、れは…うっ…ふっ…っ…」



なまえから、狐、狐と何度も言った言葉に、信楽は少し疑問を抱いていた。座り込んでいたなまえと目が合うと、その瞳から小さな雫が頬を通して、床へと落ちていた。成程な、と信楽は自分の中で回答が出来たらしく、優しくなまえの頭に手を当てて、そのまま自分の方へと持っていき抱きしめた。一瞬だけ抵抗するなまえ。だが、力強く抱きしめられた信楽の手に負けてしまった。背中を摩る大きな掌の温度を感じながら、なまえは泣き出してしまう。



「嬢ちゃん、おじさんが悪かったよ。最近、狐に構ってばっかだったから、寂しかったんだろ?」

「ち、ちが…うっ…んっ…」

「なまえ。おじさんが受け止めてやるから…全部、吐き出しちませよ」



泣いているなまえの顔を、ちらっと見ると、なまえの顎に人差し指をあて、上を向かせて、信楽は目尻にキスをする。目を真っ赤にしながらも、涙は止まる事を知らない。なまえを泣かせてしまった責任は自分にある。信楽は、もう一度、悪かったと謝り、そのまま自分の唇を押し当て、密着させるように口付けを交わしていくのだった。


fin




miel