綺麗好きで、掃除が大好きなコックリさん。隅々まで片づけをしていく。今日は朝早くから出かけてしまい、なまえ一人だ。狗神も何も言わずに何処かへと行ってしまったのか、犬小屋の前に座り中を覗くも気配がない。何もやる事がないなまえ。コックリさんの用には行かないが、軽く適当に掃除でもしてあげよと、掃除用具を手にして自分が出来る範囲でやっていく。すると、普段、目に付かない棚の隙間に手を伸ばすと、何やら紙を触った感触に気づき、引っ張ってみると、胸元を自分の手で覆っている女性の表紙を発見した



「コレ…信楽のだよね…?」



こんなエロい雑誌を持っているのは信楽一人しかいないだろう。元に戻そうと思うも、こんな表紙を見てしまっては中身も気になってしまう。なまえは誰もいないか全部屋を見て、急いで掃除用具を片付けた。信楽のエロ本を片手に、自分の部屋へと逃げた。机の上に雑誌を置いて、椅子に座り、ドキドキしながらページを捲る。きっと初めてエロ本を買った男子の気持ちはこういう事なのだろうと、なまえは男性側の視点になって中を見ていく。表紙になっていた綺麗なお姉さんが、自分の秘部を広げているポーズを視界に入れてしまったなまえは、一瞬にして耐えられなくなり、両手で顔を隠すと、バサッと床に雑誌を落としてしまった。もう無理だ。となまえは、さっきあった棚の隙間に返してこようと、雑誌を手にすると、気になる文章を目撃する



「男性が喜ぶシチュエーション?」



大きな太文字で書かれてある記事。しかも右上が折り曲げられてあり、印も発見する。信楽が気に入っているのか、となまえはランキング形式になっているシチュエーションを上から順々に読んでいく。男性って女性にして欲しい事が沢山あるんだと、興味を示すなまえは、一位のシチュエーションを読み、少しだけ考始めた。



「なるほど…」


勉強になると独り言を言いながら、最後まで読んでいくなまえ。きっと、これをやってあげれば、信楽も喜んでくれるだろうと勝手な想像をしていた。そしてクローゼットの中を探していくなまえだった。



・・・・



「おーい。帰ったぞ。あれ?誰もいねぇのか…?」

「お帰りなさい…しが、じゃない…。あ・な・た」

「おう、ただいまって…え…?今の言葉…」



誰も出迎えがない事に、ちぇと拗ねてゲタを脱ぎ、家の中に入ると、前からなまえがやってきた。珍しく白いエプロンをしていたなまえの格好に、癒されるなと思いながら、耳に入った意外な言葉に、信楽は驚いていた。今、あなたって言ったよな…?信楽は頭の中で思い出す。首を傾げ、聞き間違いかと頭を触る。



「ど…どうしたの?具合でも悪い…?」

「え?いや、何でもねぇ…。ところで嬢ちゃん、可愛いエプロンしてるな。おじさん好みで嬉しいぜ」

「ほんと?あ…そうそう聞きたい事があったんだ」

「どうした、早く言ってみろよ」

「えっと…お風呂にする?ご飯にする?それとも…私…?」

「!!?」



とさっと片手に景品を持っていた袋を落としてしまう信楽。袋の中に入っていた、煙草とライターが転げ落ちる。俯きながら顔も耳も真っ赤にしているなまえが小さな声で言った台詞に、これは夢でも見ているのかと、信楽は後ろに一歩引き、距離を開ける。そして、なまえに背を向けて、まいったなと呟き、そのまま黙り込んでしまう。何も言ってくれない信楽になまえは不安になってしまっていた。



「ご、ごめんね、信楽。突然、変な事言って…。私、寝るね!おやすみなさい!」

「え?ちょ、嬢ちゃん!?」



なまえの言葉に振り向くと、もうそこになまえの姿はなかった。足元に落ちている景品を片付けて、後を追うようにし、ゆっくりと歩きながらなまえの部屋に向かうのだった。


fin




miel