狗神の事が好きで告白をした。一度だけでは相手をしてくれなくて、何度も告白をしては断られた。それでも好きという気持ちには変わらなくて、これで最後の告白にしようと決心し、いざ狗神に伝えると、予想外の答えが返ってきた。



「私は彼女とやらはいりませんが、ペットとしてなら傍に置いてあげなくもないですよ」



どんな形でも一緒にいられるのなら、彼女じゃなくてもいいとなまえは狗神に、宜しくお願いしますと伝えた。そして、この頃から狗神と呼ぶ事は禁じ、ご主人様と呼ぶようにと言われ、何も抵抗せずに、なまえは狗神の事をご主人様と丁寧な口調で言った。何もしなくても、話をしなくても、狗神を毎日、見られる感じられる嬉しさがなまえ自身を満足させていた。狗神が欲しがるモノは全て捧げるようになった。全身という全身を狗神にあげる…というより貰って欲しいのだ。これも狗神、いや、ご主人様の為に。



・・・・



狗神と付き合い初めて数ヶ月が経とうとしていた。学校にいる間は離れ離れになる為、狗神はある提案を一つした。



「ご主人様…これは…?」

「イヤリングです。コレを付けて下さい。いつでも貴方に指示が出来るようにする為です。いですね?なまえ」

「解りました。あっ…可愛い。ふふっ。どうですか?ご主人様」

「えぇ。とても似合っていますよ」

「っ…。あ、ありがとうございます…」



なまえの手に渡されたイヤリング。それはアニマル姿をモチーフとした狗神型のイヤリングだった。早速、耳に付け、狗神に見せると、軽い微笑みをしながらなまえを見ていた。似合っていると言われ、急に恥ずかしくなるなまえ。でも、よく考えると一つ疑問に思う事があった。狗神が言っていた、指示が出来るようにするという意味はどういう意味なのだろう。



「そのイヤリングには私の声が聞こえるようになっています。」

「え…?」

「少し部屋を出てみますか…」



狗神は部屋を出て、少し離れた場所に移動をする。訳が解らないなまえは、そのまま突っ立って部屋の真ん中に一人。すると突然、声が聞こえてきた



『なまえ。聞こえますか?』

「えっ!?え、えぇっ!?」

『静かにして下さい。この通り、イヤリングから私の声が聞こえるようになっています。勿論、貴方の声も届いていますよ。ま、最初は違和感を感じるでしょうが直ぐに慣れますよ』

「なんか…変な感じ…」

「これで貴方は私が傍にいても、いなくても、ずっと…一緒です」

「あっ…」



いきなり後ろから抱きしめられるなまえ。狗神はなまえの耳に付けられたイヤリングをちょこんと触り、耳の後ろ上から下まで、ゆっくりと舐めた。ピクッと肩が震えるなまえ。狗神の唇が離れると、細い指がなまえの顎にへと手にかけられ、自分の方に向かせる。お互い、じっと見つめ合う。なまえの瞳を見ているだけなのに、なまえの心臓の音まで聞こえてくる。煩いですねと狗神は頭の中で愚痴を一つ零して、そのままなまえの唇に自らの唇を重ね合わせた。キスをした瞬間、自然に目を閉じてしまうなまえを観察する狗神。舌を差し出すと、咽喉の奥から声を漏らすなまえ。チラリと壁に掛けてある時計を見ると、そろそろ学校へと行く時間になっていた。本当はこのまま遊んでもいいが、今はまだ我慢しようと、狗神はなまえの舌を絡ませた後、唇を離した。息を整えるなまえに対して、背中を摩る



「さ、そろそろ学校に行かないと遅刻をしてしまいますよ」

「は、はい…」

「行ってらっしゃい…。あ、なまえ。忘れ物です…」



鞄を持ち、部屋を出ようとしたら狗神に引き止められた。何だろう?と後ろを振り返り、忘れ物を見た瞬間、なまえにとって、最悪の一日が始まろうとしていた。







miel