不意打ち

「佐藤少佐ってズルいよねー、オーズリー大佐と思ったら今度はマスタング大佐よ?」
「しかもあの若さで国家錬金術師なんて、コネか何かよねー」
「最近やたらマスタング大佐と一緒にいるじゃない?」
「あれは完全に狙ってるわね」


またか。

最近花子がマスタングと一緒にいることで、マスタングに好意を寄せている女性達は花子の悪口を言い合っているようだ。
そのおかげで、花子は男好きとかオーズリー大佐とマスタング大佐の二股している、上層部の人達とデキている、など数々の噂を流されたりしている。

同じ部署にいる人達はデマという事は知っているが、他の人達はその噂を信じ、軽蔑する目を向けられる事もしばしばあった。

ひと息つこうと、給湯室に入ろうとしたところ、その噂を流した張本人達がまた花子の悪口を言っていたところだった。

「そういえばこの前も一緒に帰ってるの見たわよ」
「えええ!信じらんなーい!」
「一緒に住んでるっていう噂よ?」
「嘘ーーー!」

『あのさ』
「「!!!」」

花子はもう我慢の限界で、その人達の前に立った。
花子を見て“ヤバイ!”と思ったのか青ざめた顔をしていた。彼女達からすれば花子は上官にあたるから余計にだ。

「ええっと、これはですね……」
『別に悪口を言おうが言わまいがどっちでもいいけど、嘘の話は流さないでくれる?』
「っ…だ、だって……マスタング大佐といる貴女が悪いんじゃない!」
「そっ、そうよ!いつも一緒なんて!私達だってお誘いしたいのに!」

彼女達は開き直ったように言い放った。
その理由を聞いた花子はため息しか出なかった。

『貴女達、軍部内で起きてる事ってちゃんと把握してる?傷の男が国家錬金術師を狙っている話、聞いているでしょ?最近ずっと一緒にいるのは、傷の男が襲って来た時の護衛のため。貴女達は大佐と一緒に居て、もし傷の男が襲ってきたら大佐を守れる?守れないわよね?銃も扱わない事務の貴女達には。私は大佐を守るために国家錬金術師の資格を取って体術も学んだ。私は自分の命を捨ててまででも大佐を守れる自信があるわ』
「「っ……」」

ごもっともな理由に彼女達は何も言い返せず、黙ってしまった。

「佐藤少佐の言う事はもっともだ」
「「!?」」
『大佐……リザさんがずっと探してましたよ』
「え、ああ、分かった。ま、そういう事なんだ。分かってくれたまえ」

マスタングは彼女達に笑顔を向けると、2人は顔を真っ赤にし、コクッと頷いた。

「傷の男の件が落ち着いたら是非ともご一緒しよう」
「「は、はい…!!」」

彼女達は更に顔を真っ赤にして、恥ずかしさを隠すかのように急いでその場から去って行った。

『もしかして、最初から聞いてたんですか?』
「ああ、もちろん」

花子も少し恥ずかしそうに給湯室に入り、お茶の準備をした。
花子の問いかけにマスタングはニコッと笑って返した。

『んじゃ最初から助けて下さい。私だってあんな事言いたくなかったんですから』

“今度は冷たい人だ、とか噂流れそうだし”と付け加えた。

「“自分の命を捨ててまででも大佐を守る”ねぇ……」
『っ!上司を守るのが部下の役目じゃないですか!』

ニコニコとマスタングが言うと、1番聞かれたくなかった1文を抜粋して来た事に花子の顔がボッと赤くなった。

「私は本当に愛されているな」
『よかったですね!!』
「そんなに照れなくとも、私も君を愛しているよ」
『っ!!なんでそういう事をサラッと言うんですかね、この上司は!』
「本当の事なのだからいいだろ?」
『またまたお上手ですね。セクハラで訴えますよ』
「では、本当だという証拠を見せてあげようか?」
『は?そんなのどうやっ……っんん!』

また変な事を言ってきたと、お茶を準備していた手が止まり、マスタングに顔を向けた瞬間キスをされた。

「分かったかね?」
『っ〜〜!!!ヘンタイ!!!』
「そういう反応も可愛いな」
『っ〜〜〜!!!』

花子は顔から湯気が出そうな程真っ赤になり、怒りをあらわにしていた。

「おっと、中尉に呼ばれていたのだったな。ではまた帰りに、愛しの花子」
『うっさい!!!』

マスタングはニコニコしながらその場を去って行った。

『……てか何故キスされたの。どういう意味……』

花子は大佐とのキスを思い出し、再び顔を真っ赤にした。
花子はしばらく給湯室から出られずにいた。


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16.08.23

大体、11話〜12話辺りの出来事。
大事なキスシーン、本編で載せないとかどんだけけしからんのだろうか私……すみません。

そもそも付き合ってもいないのに、可愛いとかキスとか普通にセクハラですよね(笑)というか、ただのヘンタイ(笑)

渡り鳥