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「ここなら騒いでも誰も来ねえな。」連れて来られた場所は薄汚くて。一生近寄りたくない場所だし、長居したくない場所だ。
あたりはとても散乱していて、ガラスなどが割れている。鋭利な、ガラス。
「遊ぶんならギャラリーが多い方がいいだろ。今友達に召集かけてるからよ。ちゃーんと記念撮影の準備もな。
楽しもうぜ、台無しをよ。」
「………………。」
今、ここにいるのは数人だけれど。こいつの連絡のせいでもっと増える。
そうすると私でもどうにもできない状況になってしまう。
早めにこの拘束を解いて、全員ぶちのめして、班のみんなの元へ帰らなくては。
「俺らも肩書きとか死ね!って主義でさ。」
さっき拾ったガラスで、慎重にテープを切っていく。
「エリートぶってる奴等を台無しにしてよ。なんてーか、自然体に戻してやる?みたいな。」
上手く切るわけ、ない。けど、切り込みさえ入れれば。
「いいスーツ着てるサラリーマンには、女使って痴漢の罪を着せてやったし――」
「っ――………。」
手に刺さって痛い。でも、少し切り込みが入った。
「勝ち組みてーな強そうな女には、こんな風にさらってよ。心と体に2度と消えないような傷を刻んだり――」
慎重に、慎重に。あくまで弱い女子のフリをしながら、ばれないように。
「俺等そういう教育たくさんしてきたからよ。台無しの道化師って呼んでくれよ。」
「さいってー。」
「……、!!」
よし、テープを半分まで切れた。ゆっくりと片手を抜き出す。あとは、こいつらを――!
「何エリート気取りで見下してンだあァ!?おまえもすぐに同じレベルまで堕としてやンよ。」
「………、どうだろうね。」
「美藍?」
「……あぁ?」
茅野っちに向いていた意識が、私の方へ向いた。この場にいる全員が私を見ている。
「なんだよ、おい。」
リーダー格の男が近づいてきた。
「………私、あんたたち嫌いだよ。バカだし、汚いし、むかつくし。」
「ンだと……?肩書きで見下してんだろ!?」
「違うね。」
ケンカの多さだったら、E組の不良だってきっとこいつらと数変わらない量をしてきただろう。
悪い遊びの数だったら、有希ちゃんだって去年はこいつらのいるような所にいた。
肩書きだったら、私たちエンドのE組はさほど変わらないのかもしれない。
でも、こいつらとは決定的に違う。
「もし、あんたの肩書きが素晴らしくても、あんたがカスなことに変わりはないね。」
「なッ!?」
「肩書き関係なく、私はあんたが嫌いだよ。」
「………へぇ、言うじゃねェか。」
カンペキに、私の一言は彼をキレさせただろう。私の目の前に男が立ち、手を伸ばした瞬間。
――バキッ!!
リーダー格の男の顎を、下から思いっきり蹴りあげた。
「は!?」
「何すんだ、てめ……!?」
口うるさいバカ周りの奴らには回し蹴りを一発。スキができたところで鳩尾をクリーンヒットさせてノックアウト。
「有希ちゃん、茅野っち!!逃げるよ!!」
「まぁ待てよ。」
急いでこの場を離れようとした時。リーダー格の男が立ち上がった。
「男と女には差ってもンがあるのさ。蹴りが軽いなぁ、どうしても。」
「ひッ!!」
後ろから聞こえた悲鳴。
見れば、男が1人。2人の後ろへまわっていた。
有希ちゃんと茅野っちの首元にあてられた、刃物。
「お友達傷つけたくなかったら手ぇあげな。」
私だったら、捻りあげて脱出する。
でもあの2人にそんな技術はない。そのうえ拘束されている。
「…………………。」
黙って言われた通りに手を上げる。
こいつらに従うのは不服だけれど、2人の安全を確保できなかった私に非がある。
どうにか振り切りたい。でももう不意打ちは敵わないだろうし、凶器を持たれたら――
「っ、ぁ――……。」
悶々と考えていたら、ダァンッ!!、と床に押さえつけられた。
「大人しくしてりゃあ良かったもンをなぁ。お望み通りおまえからにしよう。」
至近距離から見る男の顔。
絶望的な状況、もういっそのこと、全てを彼に賭けて見る事にした。
大嫌いな君に告ぐ
世界で1番、鬱陶しくて
世界で1番、傍にいてほしい