17
●●●
「あの………。」「ん?」
みんなに助けてもらった後、落ち着きを取り戻した私たちはそのまま宿へ。
ご飯もお風呂も無事済ませ、自分たちが無傷であることに心底感謝した。
「どしたの?奥田さん。」
お風呂から出た後、有希ちゃんと茅野っちは渚や杉野と一緒に館内ゲームコーナーへ。
まだドライヤーを使っている私と奥田さんに、後でおいでと声をかけ、走っていった。
「あ、トリートメント使う?」
「ち、違います!!」
もう既に、ドライヤーを使い終わった奥田さん。
私に気を使っているのか、その場で動かないでいた。
「もう少しかかると思うし――……。」
ドライヤーを切り、ヘアブラシを手に取る。
「先ゲームコーナー行ってていい――」
「ごめんなさい!!」
「へ?」
急に大声で謝り出した奥田さん。
「え、と………?」
「私、1人だけ隠れてて………。相沢さん、とても怖い思いしたと思います。」
深々と頭を下げ、必死に謝る奥田さん。
彼女は、自分だけ無事だったことに負い目を感じていたらしい。
「私だけ、逃げちゃって………ほんと――きゃっ!!」
――ブオォッ!!
ドライヤーの風を奥田さんの顔に向けて発射!!もちろん手加減はしているしちゃんと安全確認しているけれど。
「いいって、そんなの。奥田さん無事なら良かったもん。」
「で、も………。」
「大丈夫!!」
――守ってくれる友達がいるから。
「………はい!!」
そう笑ってみせれば、少し安心した様子の奥田さん。では、先に行っていますと元気よく出ていった。
「さて、と。」
ヘアブラシもトリートメントもドライヤーも、全て片づけて、さぁゲームコーナーへ向かおう。
女湯から出て、少し軋む床を踏みならしながら廊下を進む。と、自販機の傍のソファーでいちご煮オレを飲むカルマがいた。
「どこ行くの?」
「ゲームコーナー、の予定だったけど………。」
ポンポンと、自分が座っているソファーの隣を軽く叩くカルマ。
「行き先がソファーに変更になった。」
「良く分かってんじゃーん。」
自販機にコイン投入。あったかいカフェオレを購入後、勢いよくソファーに倒れかかる。
「やっぱカフェオレだな。」
「煮オレでしょ。」
「カルマはいつもそれだよね。」
ぴたり。彼が煮オレを飲む手が止まった。
数秒そのままステイして、少し意地の悪い顔になる。
「ねぇ、美藍?」
「なにカルマ。」
そう無表情で言ってやれば、満足そうに、笑った。
その理由がなんだかわかってしまって、ちょっと悔しかった。
策士ピエロの嘲笑
「なんか色々あんたには負けてる気がする………。」
「まぁまぁ、しょうがないよ〜。」