18

「美藍―――!!!」
「ひっ!!莉桜!?」

大部屋のなかに入った瞬間。飛びかかってきた莉桜。

「なに!?どした!?」
「恋話聞かせろ―――――!!」
「はぁ!?」

どうやら修学旅行恒例、気になる男子のお話をしていたようで。

「あんたたくさんもってんでしょ!!」
「いや、ないよ!」
「1,2年のときも結構噂あったよね。」
「矢田ちん、なに適当なこと言ってんの!?」
「昔はないにしても今はカルマ君の話があるもんねーっ!!」
「陽菜ちゃん!?」

なぜか私が女子一同から一斉攻撃。

「実際どうなの?カルマとは。」
「いや、なんもないっすよ。」

うそつけー!とブーイングが上がったが、事実。

「カルマは本当に友達だし――………。」
「「「……………。」」」
「?」

くるりと後ろを向いて顔を合わせる女子一同。

「カルマ呼び。」
「カルマ呼びだ。」
「変わった。」
「呼び方が名字から名前に変わるとき!!これは!!」
「「「進展アリ!!!」」」

「いや、ないって。」

なんだかみんな、勘違いしている。
確かにカルマ呼びにはなったけど!なったけど!!
これは別に恋愛的なものがあるわけじゃないし、そもそも私はあんまりそういう話に興味ないし。

「………今日助けられたときに、思ったんだよ。」

ただの友達って言葉じゃ、足りない。傍にいると、なんだかとても安心する。

「これって、恋なんて不安定なもんじゃなくて、親友とかそういう友情だと思うの。」

もしも、私になにかあったらきっと助けてくれると思うし、もしも、彼になにかあったら私が助けようと思える。お互いがお互いを大切に思い、信用している。
これって、好きとか恋とか、中学生が使う軽い言葉じゃなくて。軽い言葉じゃ表わせなくて。別れようの一言で終わるような、繋がりの薄い関係ではないと思っている。そうすると、やっぱり親友って言葉がぴったりなのかなぁなんて。

「それは、たぶん向こうも思ってる事じゃない?」
「「「………………。」」」

なんだかみんな茫然としていて、ちょっと語っちゃった私が恥ずかしい。

「うーん。美藍の考えは分かったよ。」

ちょっと複雑な表情をしながら言う莉桜。

「でも、さ。あんまりその距離保ちすぎると、踏み込めなくなる、んじゃない?」
「?」
「その距離でその関係を続けていって、後々になって踏み込もうと思っても、保ち続けてきた距離ってのは壊しにくいんだよ。」

――それは、覚えておいた方がいいと、思うよ。

「うん。わかった。」

ちょっと大人びたふうに言う莉桜と、周りのみんなの表情に、私に足りないのってこういう部分だろうなぁと思った。

ちぐはぐな未来予想
「それにしてもカルマ不憫だわぁ。」
「こりゃあ当分この状態だ。」
「カルマ的にもわかってるんだろうけどさ。」
「長期観察物件が出来て良かったじゃあないスか!!」
「「莉桜おっさんみたーい。」」



back

ALICE+