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「はぁ………。」

今日何度目かともわからないため息を1つ。
理由は簡単。もう今日から通常授業なのだ。あれほど楽しかった修学旅行は終わり、またあの隔離校舎へ登校。
ぼろっぼろの校舎で授業再開となれば、ため息の1つや2つ出るだろうに。

「何ため息ついてんの。」
「あんたは何あくびばっかしてんの。」

隣を歩く低血圧、否、カルマ。
駅からずっとため息しかついていない私を軽く笑うが、こいつだってずっとあくびばっかりなのだ。いい加減起きろバカ。

「だって眠い………ふあぁぁ――。」
「あ、うつった………ふあぁぁ――。」

朝から仲良いなーと追い抜きながら言うクラスメイト。

「そう言えば、烏間先生からのメール見た?」
「メール?あー、転校生か。」

烏間先生からの一斉メール。内容は転校生について。でも、

「タイミング的にも文面的にも暗殺者だよね。馴染めるのかなぁ。」
「行けば分かるって、そんなん。」

グダグダ話しながら入った教室。そこには、異様な雰囲気を放つ箱があった。

「何これ。」
「あ、美藍おは。」
「おは。」

真っ黒で大きな箱は、ちょうど机の前に設置されていて――………

「おはようございます。」
「!?」
「今日から転校してきました、自立思考固定砲台と申します。よろしくお願いします。」
「よ、よろしく………!?」
「美藍、まともに返さなくていいって………。」

大きな箱はスクリーンに顔を表示させ、決まりきった挨拶をすませた。
転校生、というのは名だけ。殺せんせーの生徒に危害は加えないという契約を逆手にとった暗殺だ。

隣の隣の席、だからまだいいんだろうけど、ズドーンと真っ黒い箱が視界に入るのはこれまたなんとも、

「うーん、威圧感半端ない。」

みんなもやっぱり気になるようで、ちらちらと後ろを見ている。

「いつ攻撃始めるのかな?」
「気が向いたとき。」
「カルマじゃないんだからちゃんと考えて仕事するよ。」
「それって軽く俺を貶したよね。」
「気のせいじゃなーい?」

私たちが話していたその時。殺せんせーが黒板の方を向き、背中を向けた。

――ガキィン!!!!!

「!?」
「かっけえ!!」

黒い箱、じゃなくて、固定砲台さんから出てきたたくさんの銃。そのまま銃口を殺せんせーに向け、撃った。

バチバチバチバチッとBB弾が黒板にあたる。

「ショットガン4門機関銃2門。濃密な弾幕ですが、ここの生徒は当たり前にやっていますよ。」

でもたくさん撃ったからといって、殺せんせーにあたるわけではない。全てかわされている。

「それと、授業中の発砲は禁止ですよ。」
「…………。」

ガションガションと、全ての銃をしまう固定砲台。

「気をつけます。続けて攻撃に移ります。」

ブウウウンと、機械特有の音を発しながら光る固定砲台さん。

「弾道再計算。射角修正。事故進化フェイズ5-28-02に移行。」
「こりませんねぇ。」

またまた銃を展開、発砲。でも、これで殺せんせーを殺すことができるのだろうか。
さっきと何も変わっていないような気もしなくは無いんだけれど。

「!?」
「殺せんせー!?」

ピンと、チョークで弾いた後ろ。

「隠し弾!?」

弾ききれなかった弾が、殺せんせーの指に当たる。

「右指先破壊。増設した副砲効果を確認しました。」

暗殺対象の防御パターンを学習し、武装とプログラムに改良を繰り返し、少しずつ逃げ道をなくしていく。

「次の射撃で殺せる確率0,001%未満。次の次の射撃で殺せる確率
0,003%未満。卒業までに殺せる確率

90%以上。」

もしかしたら、彼女は殺るかもしれない。
自己進化し続ける砲台。無敵に、近い。

「よろしくお願いします、殺せんせー。続けて攻撃に移ります。」

入力済みの笑顔で微笑みながら、転校生は次の準備を始める。
無敵、かもしれない、けれど。
きっと私は、この入力済みの笑顔で話すこの子とは、仲良くなれない。そんな気がした。

笑っているふりがお上手ね
だって、決まりきった笑顔が
なんだか昔の私に似てるんだもん



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