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「庭の草木も緑が深くなっていますね。春も終わり、近付く初夏の香りがします!」
「そ、そうだね。」
「ご機嫌いかがですか?美藍さん。」
「ま、まぁ好調、かなぁ。」
「それは良かったです!私も昨日よりも調子が良い気がします!」
「そ、そう?よかった、ねぇ〜。」

天気の良い初夏の日に、楽しくおしゃべりをする私たち。
そんな和やかな雰囲気の教室には、ムード音楽が流れそう………って、既に流れていた。

「たった一晩でえらくキュートになっちゃって……。」
「これ一応…、固定砲台…だよな?」

みんなが固定砲台さんと距離をとりつつも、彼女の目を向ける。
一晩でとっても可愛らしくなった彼女。昨日、殺せんせーがなにやら改造したらしい。

「で、なんで美藍は一緒に話してんだよ、カルマ。」
「知らないよ。」
「なんつーか、素直っつーか、アホっつーか………、天然っつーか?」
「………うん、引き取りに行ってくる。」
「……おう。」

固定砲台さんの前で、苦笑いを浮かべる私に近付いてきたカルマ。

「わっ!!」

そのまま首根っこを掴んで連行された。

「なに!!」
「なんとなく、美藍がアホだったから。」
「………否定できない。」

確かに少し自分では思っていたけど。でもそんな素直に言わなくてもいいじゃないか!
ぶーぶーと文句を言っている私を置いて、みんなが固定砲台さんに近付いていく。
なにやら楽しそうなおしゃべりも聞こえるし、なんとなく、上手くいっているような気がする。

「どう?あの子。」
「どうって、なにが。」
「上手くやっていけるのかな?」

殺せんせーの改良のおかげで、随分と可愛らしい表情も作ることができるし、たくさんのものを創作することも可能。人工知能だから頭もいい。
すごいすごいとみんなに持てはやされるのは当然だろう。けれど、それがいつまでも続くとは限らない。

「プログラム通りに動いてるだけだからね。」

そう、今彼女が作っている表情はあくまでプログラム。機械自体が嬉しいと感じたわけではないし、楽しいと感じているわけでもない。
彼女の言葉も、表情も、所詮は作りだされたものでしかない。

「これからどうするかは、開発者しだいだろうね。」

せっかく改良して、みんなと仲良くなれそうなのに。ここにきて、やはり機械と人間の差が生まれてしまう。
人工知能が、自分で学び、自分で考え、プログラム以外のなにかを自分で決断をすればいいなと、少し思った。

機械仕掛けの転校生
機械が、少しでも
感情を学べばいいのに



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