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昨日、なんとかみんなと仲良くなれた転校生、律。今日は私ももう少し、彼女と仲良くなれないかなぁと心を弾ませて登校したのだった、が。
「おはようございます、みなさん。」
全身表示液晶は一体どこへやら。当初の、あの堅苦しい機械に戻っていた。
「生徒に危害を加えない≠ニいう契約だが…「今後は改良行為も危害と見なす」と言ってきた。」
教室に入ってきた烏間先生が、ガムテープを構えていた寺坂に近付く。
「君らもだ。彼女≠縛って壊れでもしたら、賠償を請求するそうだ。」
寺坂からガムテープを取り上げて、なんともないような風に言った。でも賠償、だなんて。いくらだ。一体いくらだ。私たちが一生かけて働いて返せるような額なのか。
「開発者の意向だ。従うしかない。」
理不尽だ、と思ったが、今回はため息を突きながらも大人な対応をする烏間先生を見習うしかない。彼はもう、ほんとに……大変だろうに………。
「開発者とはこれまた厄介で……親よりも生徒の気持ちを尊重したいんですがねぇ……。」
仕方がない。彼女、律は、人間ではないのだから。彼女に意志がない以上、開発者の言うことは絶対。どうしようもない。
「………攻撃準備を始めます。どうぞ、授業に入ってください殺せんせー。」
敵意剥き出しで言う律。昨日の可愛い律ちゃんはどこにいってしまったんだろうか。少し楽しみにしてきたというのに。
「あーぁ、また始まんのか…………。」
面倒くさそうに呟きながら、教科書を私の方へ向けて盾にするカルマ。
「片づけ面倒だなぁー。」
私もそれを真似て盾をつくる。今日はノートと教科書のダブルだ。意味ないだろうけど。
ヴゥゥゥンと、機械特有の音を立てる律。ガシャンガシャンと両脇から銃が展開され―――
「え?」
またあの乱射が――と思いきや、堂々と出てきたのは銃なんかではなくて。
「花を作る約束をしていました。」
たくさんのブーケ。そこで、昨日、律が矢田ちんと花の話しをしていたのを思い出す。
「殺せんせーは私のボディーに……計985点の改良を施しました。そのほとんどは…開発者が「暗殺に不要」と判断し、削除・撤去・初期化してしまいましたが、
学習したE組の状況から、私個人は「協調能力」が暗殺に不可欠な要素と判断し、消される前に関連ソフトをメモリの隅に隠しました。」
すらすらと言葉を並べていく律。それは、当初のあの機械なんかではなくて。
「…………素晴らしい。つまり律≠ウん、あなたは――」
「はい。私の意志で産みの親に逆らいました。」
ここにいるのは、紛れもなく律自身。彼女そのものだ。
「律ちゃん、だ。」
「そうみたいだねぇ。」
昨日、あれだけ捻くれたことを言っていたカルマも、どこか嬉しそう。
もちろん、私も嬉しくって仕方がない。
今日から、この27人で………卒業までに先生を殺すんだ。
ここに君がいるということ
彼女は紛れもなく
E組の生徒だ