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ぽかぽかと春らしい日差しが射す朝。おはようーとバカみたいな声を上げて集団になる女子。ニコニコと笑いながら、友達の仮面をつけながら手を振りあう。
「相沢さんじゃーん。」
「え、うっそぉ!?」
「やだ久しぶりぃ!」
同じ電車に乗っていたのに気が付かなかったのか、校門を前にして初めて声をかけてくる知能指数の低い生物。
違いますよ。あなたたちの目の前にいるのは、あなたたちが思っている相沢美藍ではありませんよ。
そう冷たく言い放ってやりたいが、声に出すのも目を合わせるのも億劫なのでとりあえずシカトを決め込む。耳にしっかりと入っているイヤホンが、現実逃避を手伝ってくれる。周りには聞こえない音が、私の耳の中で鳴り響く。周りには聞こえている音が、私の耳には入らない。1人だけ隔離された世界で生きている気分だ。でも、案外悪くない。
×××
「どうしてもこのXが解けない?いやいや大丈夫!!」
黒板の前に立つ、殺せんせー。未だに私はこの生物の狙いがわからない。
突然月が蒸発したと思ったら、新担任が謎の生命物体で、防衛省からそいつを殺してほしいと言われる。クラス全員が参加の暗殺ゲーム。卒業までに殺せんせーを殺せばチェックメイト。私たちの勝ち。卒業までに殺せなかったら殺せんせーは地球を爆破。ゲームオーバーで人類全員仲良くあの世行きだ。
殺せんせーはいつも言う。3月まで私たちとエンジョイしてから地球を爆破すると。
でも、それなら私たちに何も教えなくたっていいじゃないか。教師として仕事しなくてもいいはずだ。私たちと毎日遊んでしまえばいい。だって、そのあと地球は消え去ってしまうんだから。
殺せんせーの言っている事は、筋が通っている。けれどどこか矛盾がある。私には先生の真意は分からないし、分かるつもりも毛頭ないけれど。
今年いっぱいで地球が終わってしまうなら、何をやっても無駄じゃないか。
15位という過去最悪の成績を出したって、やる気をなくしたって、自分を偽るのに疲れ人間関係を放棄したって、新しいクラスで誰とも関わらなくたって、全て消えてしまうんだから。
捨ててしまえば楽になれそう。背負いすぎた他人からの期待と自分の責任を下ろしてしまえば楽になれそう。今までが頑張り過ぎたんだ。アイドルを演じすぎた。天才を造りすぎた。自分の心を押し殺しすぎた。
「では今日はここまでです。」
全てを投げ捨てた結果がこのE組。友達どころか話したことがある人は1人もいない。まぁ、困らないしいいか。今日も昼休みは外でお昼寝だ。
人形が死んだふり
いつしか言えなくなった
助けての言葉