02

「…………………。」

昼休み。お弁当は持って来たんだけれどなんだか食べる気がしない。
だるいな。風邪ひいたのかと思うがそう言えばいつもだった。
携帯とイヤホンを持って教室を出る。みんなは大体、教室の中にいるから外に行けばあまり人と会わない。たまに烏間先生を見かけるくらいだ。先生たちも私に話しかけてはこないからいてもいなくても変わらないんだけど。あぁ、殺せんせーは違うか。

「相沢さん!!あなたこの前のテストも白紙で提出しましたね!!」
「…………………。」
「答案用紙に相沢しか書いていないじゃないですか!!」
「わかりませんでした。バカなので。」
「嘘付くんじゃありません!!!!!」

このタコはとても世話好きだ。3年生の小テスト、私は今まで全て名前しか書いたことがない。もちろん、これからも書くつもりはない。大きなテストだって、なんだって。やる気がない生徒なんか放っておけばいいのに、こいつはめげずに毎度毎度やってくる。

「授業は真面目に受けています。他の生徒の邪魔は一切していません。困るのは私だけです。」
「あなた中間テストでこれをやったら最下位ですよ!?」

いいですよ、そんなこと。もうどうだって。
ぎゃあぎゃあとうるさい殺せんせーをおいて、私は外へ向かった。

×××

いつもの場所に陣をとる。ここは私のお気に入りの場所だ。出来ることなら授業も集会も面倒なことはここでサボりたいんだけれど、なんだかそれだと逃げている気がして悔しいので参加する。
ぽかぽかしていて気持ちがいい。イヤホンを耳に入れればもう私の世界は完成だ。

「やっほ、相沢さん。」

……だから無断で入ってきてくれるな赤羽よ。せっかく殺せんせーを躱して寝れると思ったのに。これはまた厄介なものが入ってきた。こいつはしぶとい。ねちっこい。追い払うのに時間がかかる。

「ねぇねぇ、この前の小テストさぁ。相沢さん白紙だったよね。」

なんだこいつ。からかいにきたのか?さっきの会話を盗み聞いていたのか。いや、そう言えばこいつ席隣だった。

「この前だけじゃなくて、今年入ってから相沢さんがテスト用紙に何か記入してるの見た事ないなぁ。」

関係ないじゃないか。なんでこいつに言われなくてはいけない。
素行不良の赤羽業は成績は優秀。テストはいつも満点に近い。素行不良のわりには、勉強はしっかりするのだ。

「ねぇ、どうして白紙で出すの?」
「わかんないから。」

嘘だぁとけらけら笑う赤羽。何考えてんのかよく分からない。

「じゃあ、どうしてクラスのみんなと話さないの?」
「話す必要性を感じないから。」
「ふーん。」

ふわりと春っぽい空気が吹き、頬をなでる。あぁ、寝れる気がしない。こいつ邪魔だな。

「ねぇ、今日の小テスト。勝負しようよ。」
「は?」
「もし俺が勝ったら、相沢さんクラスのみんなと仲良くしてあげてよ。負けたら、なんでも言うこと聞くからさ。」
「断る。」

なんだその条件。負けたらまた学校のアイドルやれって?ふざけるな。人前で思ってもないこと口にしてにこにこ笑い続けて嫌われないように計算して動くのってすごい疲れるんだぞ。わかってないだろこいつ。

「大体、勝ったとしても私になんの利点もない。」

赤羽に頼みたいことなんて1つもない。なにも望んでない。ただ関わらないでほしいだけだ。

「私はアイドルなんかじゃないし。そもそもあれは全部演技。」
「知ってるよ。」

ーーまた演じろなんて言ってないだろ?

じゃあなんなんだ。本物の私はかなり性格悪い。計算して生きてきた私の捻くれ度は相当だ。引く。ドン引きだよ。

「相沢さんは自分が思っているより、空気じゃないんだよ。」

じゃあ、6時間目のテストね、だなんて勝手に決められた。最後の言葉の意味がわからず考えていた私は、反論するのを忘れてしまった。

強引に開けた扉
全員に好かれるか嫌われるか
そんな極端な選択肢しか私にはない



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