42
●●●
「なんで黙ってたのよ!!」浅野君にE組に残る意志を伝えたのはほんの数分前。これでE組として終業式に参加出来るなぁなんて、そんな呑気に考えていた私を殴りたい。
私は今、廊下でメグに説教されているのだ。
「相談してくれたっていいじゃない!!」
「で、でも………私の問題でもあったし……。」
「美藍の問題だったら私は力になれないってわけ!?」
「そういうわけじゃないって!!」
メグの言いたいことは分かる。今になって、誰にも相談しなかったことを後悔して、何も言えなくなってしまう。
そんな私を見たメグは、1つため息をついた。
「まぁ、ショッピングの荷物持ちにでもなってくれれば許せるかなっ。」
「――――!!」
メグは私にパチリとウインクをして、最前列へと向かっていった。メグのこういう所に、私は何度となく助けられている。
ふぅ、と感懐に耽っていたら不意に右手を掴まれた。
「莉桜!!」
「私に黙ってるたぁー良い度胸じゃないすかァ美藍ちゃーん?」
「あ、あは………。」
「今度2泊泊めてもらっちゃうんだからねーっ!!」
「あ、じゃあ私も!!」なんて、茅野っちや有希ちゃんの声が聞こえる。あぁ、どうしてE組の女子はこんなにも優しいんだろう。泣いちゃいそう。
走って体育館に行くみんなの後ろ姿を見ながら、1人涙が出そうな私。
すると、くしゃくしゃっと頭を撫でられた。
振り向けば、そこにはカルマがいて。
「美藍………。」
そのまま後ろに回された手は、私の身体を包む。引き寄せられた身体は、カルマの中にすっぽりと収まった。
「焦った。」
私の身長ではカルマの顔が見えない。静かな声しか、聞こえない。
「手、離されたとき、ほんと、行っちゃうと思って。」
「うん………。」
静かで、でも、どこか弱弱しい彼の声を聞くと、どうも胸が締め付けられる。
最近、私はどこか変だ。
「良かった。ここに居てくれて。」
「――――っ………、うん、ごめん。」
×××
その後の終業式はつつがなく進んで、でも、いつものE組いじりはウケが悪かった。
みんな、前を向いて立っていられたし、私はE組の列に自分がいることが誇らしかった。
でも、今回のことは少し反省すべきだと思う。もしも、次にこういったことがあったら、真っ先にみんなに相談しよう。
メグとか、莉桜とか、茅野っちとか、有希ちゃんとか――……
カルマとか――
今回だって、言えば良かった。カルマには。
カルマなら、相談出来たのかもしれない。どうして言えなかったんだろう。
どうして………。
私にとって、カルマは友達だから。だから、言えなかった。
でも、友達だから言えないっておかしい。迷惑掛けたくなかったから?心配させたくなかったから?
いや、違う。それは全部、私の中での建前。本当は、違う。
カルマにとって、私ってなんだろう。私にとって、カルマってなんだろう。
最近、ふとした時に思うことがある。その時、結局は友達という結論に至る。
私にとって、杉野や、渚、磯貝と同じように、カルマは友達で、カルマにとっても、茅野っちや、奥田さん、莉桜のように、私も友達。
カルマにとって、私は特別でもなんでもない。
だから、そんな深刻な相談をする仲じゃない。
なぜだか分からないけど、そう思ったときはすごく悲しかった。悪い意味じゃない。当然だ、友達なんだから。友達、なんだから。
私はみんなと一緒。女友達の中の、1人。
そう思ってしまうことが、なぜだか苦しい。
きっと私は、心の中のどこかで、本当に少しだけれど、どこかで、
私はカルマにとって、特別でありたいって、思ってしまっている。
こんなものを愛とはいわない
あぁ、なぜだかすごく
もやもやする