04
●●●
「うそだろ!?」「本当。」
「今までやってなかったんだぜ!?復帰テストでこんなに取れるのかよ!」
「事実取ってる。」
「相沢さん、先生は嬉しいです!」
「どうも。」
返却されたテスト。覚悟を決めてやって本当に良かった。満点だ。
解答用紙を見つめ、必死にシャーペンを走らせる。そして、3桁の数字が大きく書かれた再生紙が返ってきたときの喜び。久しぶりだ。やっぱり嬉しい。これだけは、私の確かな武器だったのかもしれない。
「先生、私。これからも勉強頑張ってみようと思います。」
「はうッ!!先生っ!!こんなにまで!!生きてて良かったと思うのは初めてですっ!!!!!!」
滝のような涙を流しながら相沢さん頑張りましょう!!なんて。
この先生は本当にわかんないや。
「まさか同点とはなぁ。」
「舐めてたでしょ。」
「ははっ。」
赤羽ももちろん満点。同点だ。負けてもないけど勝ってもない。まぁいいや。これがスタートだし。
「えぇっと……すいませーん。」
「ん?なに杉野。」
口をはさんできたのはクラスメイトの杉野友人。よくよく見れば、クラスのみんなが茫然と私を見ている。
「そこ、どういった関係で……?」
不思議に思うのは当然なのか。昨日まで無表情&無口完全空気だった人間が、急にクラス1の問題児赤羽業と話しているんだから。
「相沢さんはねー俺の彼女候補なんだよー。」
「は?」
「「「え?」」」
「にゅやっ本当ですか!?」
「いや、待て赤羽そんな勝手な!!」
「相沢さん、まじで?」
「違うわ!!!」
おかしなこと言ってくれるな赤羽よ!みんなが真顔で聞いてくるじゃないかなんてこと。こんな誤解されて……まずは先生よりも赤羽を暗殺したいわ。
「ってか、相沢さん話してくれるんだね。俺らと。」
「え?」
「4月からずっと口きいてくれなかったからさ。」
「嫌われてるのかなぁって。」
「美藍、2年のときと全く別人になっちゃったし……。」
「メグ………。」
馬鹿だ。私は。自分の問題も自分で解決できずに、人と勝手に距離を取って。
「私……、ごめん。みんなのこと、嫌いじゃない。」
私は1人では生きていけないくせに。ヘンな意地はっていたくせに。
「だから、これからも仲良くしてほしい。」
迷惑かからないんだからいいでしょなんて。空気になってるんだから問題ないでしょなんて。
「相沢さんなんて、そんな固くならなくっていいよ。」
自己中だ。結果的に、みんなを傷つけている。
「美藍って、気易く呼んでよ。」
「おう!」
「当然だよ!」
「これからよろしくね!」
「LINE教えて美藍〜。」
「今日このあと暇な人ー!!なんだったら女子みんなでカフェでもいかない?」
「いいね!!いくいく!!」
「美藍は?」
エンドのE組。成績底辺の生徒や素行が悪過ぎて手に負えない生徒たちで出来た寄せ集めのクラス。当然、そんなクラスでは団結力なんてうまれない。そう思っていたけど。
「もちろんいくよ!」
みんな、すっごくいい人ばかりだ。なにこれ、今までよりも全然楽しい。
「よかったねー友達出来て。目標達成!」
「お気遣いどーも。」
赤羽業。こいつ、初めからこれが狙いだったんだもんな。上手くクラスの注目集めて、テ
ストも人間関係も、一気に克服させられちゃった。なんだか上手くあやつられていた気もするけど、いっか。助けられたのは事実なんだから。
「じゃあ、俺も美藍で呼ばせてもらおーっと。」
「赤羽貴様は別だ。」
「まってなにその差!!」
周りで湧きおこる笑いに、心が軽くなったのを感じた。
「カルマ君、いい仕事しましたねぇ。」
「まーねっ。」
人は独りじゃ進めない
そのままの姿でも
好いてくれる人は必ずいるよ
ほら、前を向いて