君を知らない僕になりたい
眩しいほどの青空と太陽に、もう5月なのかと、5月を半分ほど過ぎた今頃になって思う。
ぼんやりと、1人ベンチに座る俺は周りから見れば滑稽なのだろうか。
ごめんね。
そんな彼女らしくもない、絵文字もなにもないメッセージがきたのは昨日の夜。
どうしたの、と何を聞いても返事がこなくて、もう寝てしまったのかと呑気なことを思い、ならば明日会うのだから聞けばいいと、自己完結させてしまった。
今思えば、あそこで電話でもして聞けば良かったと思う。
この手に握りしめた携帯には、着信は一切なく、彼女に掛けても反応がない。
街ゆく人に、自分が嘲笑われているような感覚を持つのは、きっと仕方がないことで。
待ち合わせは2時間前で、ここに1人。
それが、きっと彼女の謝罪の答えだ。
彼女に嫌われるようなことをしてしまっただろうかと、頭を巡らせるが、全く身に覚えがない。
2年のときに知り合い、俺だってそれなりに彼女を大切にしていたし、俺が停学になっても、E組になっても、関係は保たれていた。
彼女だって俺の横では笑っていたし、俺だって彼女の横では笑っていられた。だからそれが全てだと思っていたのに。
けれど良く考えれば分かったことだ。これは、簡単で、単純な問題。
認める事で、1つ、前に進める。のに、どうしても認める事が出来ない。
A組に進んだ彼女は、そこで自分の居場所を見つけ、彼女なりに進んできた。俺が、E組の中でそうしてきたように。
世間が認める明白な強者であり優秀な彼女と、お世辞にも優等生とはいえない俺。
進む彼女と、ここで1人、止まったままの俺。この痛いほど開いて縮まらない距離を、一体何で埋めようか。
学校は、その答えを教えてはくれない。
「……………………。」
手元の携帯に、やはり反応はない。
俺は一体何がしたくてここにいるんだろうか。彼女をそれほどに待つ意味が、一体どこにあるんだろうか。
怖かっただけなのかもしれない。3年になり、停学になり、だんだんと変わっていく学校というものが。自分を取り巻く環境の変化が。怖かっただけなのかもしれない。
クラスが変われば接点が減るのは当然ではないか。俺の知らない、彼女があっても不思議ではないではないか。
そう考えれば、至極滑稽で、失笑してしまう。
もう、やめよう。ここで彼女を待つのは。
俺が壊れてしまうだけだ。
ここに彼女は来ない。
だって、俺はE組だから。
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