トパーズは悲観的な夢を見る



「リビングはここ。で、あっちが僕の部屋ね。桃タローくんには申し訳ないけど、倉庫で寝てもらいたい」
「それは構いません」

天国の桃源郷。桃太郎が、師匠である白澤に説明を受けていた。
白澤の自室と言われた部屋の、反対側へ目を向ける。と、そこにももう一つ扉があった。

「あの……すいません、あの部屋は?」
「ん?あぁ〜……魔物の部屋?」

え?魔物?は?っていうか、俺に聞く?それ。考え込む白澤に、聞いてはいけないことだったかと心配する。

「危険なところなら入らないので…」
「いや、大丈夫。危険じゃないよ」

へらっと笑ってドアに近付く。「紹介はしといた方がいい、よな…」なんて苦い顔で言いながら、ドアノブに手をかける。
が、開けようとはしない。ドアノブが歪んでしまいそうなほど、力を入れて掴んでいる。

無理には良いです、そう言おうとした時。

ーーバン!

ドアが内側から勢いよく開けられた。その拍子に吹き飛ぶ吉兆の印、白澤。机に頭をぶつけている。「大丈夫ですか!?」神様の哀れな姿に思わず駆け寄った。
すっと片手を上げて、大丈夫だと示す白澤。ドアを開けた何かを睨みつけ、唸るように言った。

「……従業員。桃太郎くん」
「そう。よろしく」

答えたのは、綺麗なソプラノだった。え、女性?驚いて姿を確認しようとした時には、既にドアを閉められており、目にすることはできなかった。

「白澤様、今のは……」
「香梛。財務」

「あぁ゛〜いってぇ」と、舌打とともに香梛の部屋を睨みつける白澤に、まさか仲最悪なのではと、就職初日で思ったのだった。
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