もって3日。

それが初めの感想だった。どうせ耐えきれなくなって団長が殺すだろう、と。代わりになりそうな黒髪の女を、他に探さなくては。異世界でもこの世界でも、とにかく地球人はやめよう。もっと強くて、丈夫な種族でないと。が、どうだろう。

彼女がここにきて1ヶ月がたとうとしているが、未だ。彼女が殺されるほど狂う様子はない。それどころかこの状況に順々と対応していっている気さえする。資料室で資料を読みあさっていたのを見たときには、素直に関心した。15にしては賢いだろう。

ふと、彼女が現れた時を思い出す。持っていたバッグに、小さな証明書が入っていた。と言っても、そこまで大層なものではなくて、とりあえずと言った形だけのもの。彼女の名前が書かれているその上。しっかりと生徒会長と書かれていた。
同じ14,15の子供の中の長などお飾りだ。実力があるわけではない。安っぽい証明書がその証拠だろう。と、生徒会長の意味を知らない阿伏兎は、大変失礼な解釈ではあったが、そう思っていた。

大きな間違いだったようだ。生徒会長という肩書はだてではない。未だ生徒会長の意味はつかめていないが。
神威には絶対に逆らわない姿勢を示している。他の団員とも極力顔を合わせることのないよう、行動パターンを分析している。上手く動けていると評価する。
まぁ、どれだけ気をまわしても、神威とはどうしても関わる羽目になるのだが。
異世界からきたという彼女に大変興味のある第7師団団長様は、距離は適度に保ちつつも、彼女のことをよく見ている。構われる彼女は大変迷惑そうである。

と、なぜこうも阿伏兎が彼女のことをよく知っているのかと言えば。
それは彼女がこの師団の中で、1番慕っているのが阿伏兎であると言えるからだろう。

常識人である阿伏兎は、香穂からすれば地獄に仏。まさに神様。唯一と言っていい、まともな人であり、何かあれば頼れる人なのだ。
第一印象こそあまりよくはなかったものの、見ていれば分かる。団長の放棄した仕事を、こうも真面目にこなす人はいないだろう。香穂としては相当ポイントが高い。

それが段々と態度にもでるようになり、阿伏兎相手ならば香穂の表情が崩れることも多々あった。
他の団員や神威がくると、すぐに厳しい顔に戻ってしまうのだが、それでも少し見せる彼女の年相応の表情に、阿伏兎もついつい口元が緩んでしまう。

こりゃあ団長よりも懐かれてっかな…………

何故か喜んでいる自分に動揺しつつも、緩んだ口元は引き締められなかった。

後書き

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